ホルムアルデヒドなどを用いた化学固定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 15:34 UTC 版)
「組織学」の記事における「ホルムアルデヒドなどを用いた化学固定」の解説
詳細は「固定 (組織学)」を参照 化学固定は、組織の劣化を防いだり、細胞構造や、細胞小器官(例:細胞核、小胞体、ミトコンドリア他)などの細胞内物質を保存するために行われる。光学顕微鏡向けの最も一般的な化学固定は、10%中性緩衝ホルマリン(リン酸緩衝生理食塩水に4%のホルムアルデヒドを加えたもの)である。他にもブアン液(英: Bouin Solution)などが用いられる。電子顕微鏡に対してはグルタルアルデヒドが最も汎用され、同じくリン酸緩衝生理食塩水に2.5%のグルタルアルデヒドを加えて固定液が作られる。これらの化学固定は、非可逆的にタンパク質間に架橋することで組織や細胞を保存する。アルデヒドは、主にタンパク質のアミノ基を架橋するために用いられ、ホルムアルデヒドの場合はメチレン架橋 (-CH2-) 、グルタルアルデヒドの場合は C5H10 架橋を形成する。固定を行うことで、細胞や組織の構造はほぼそのまま保存されるのに対し、酵素などのタンパク質は、損傷してある程度の変性を起こす可能性がある。タンパク質の損傷は、ある種の組織学的手技には有害なものである。電子顕微鏡向けには、四酸化オスミウムや酢酸ウラニル(VI)など追加の化学固定が行われることもある。 ホルマリン固定は、組織中のmRNA、miRNA、DNAを劣化させる。一方で、適切な手法でホルマリン固定・パラフィン包埋(ほうまい)された組織からは核酸の抽出・増幅・分析が可能である。
※この「ホルムアルデヒドなどを用いた化学固定」の解説は、「組織学」の解説の一部です。
「ホルムアルデヒドなどを用いた化学固定」を含む「組織学」の記事については、「組織学」の概要を参照ください。
- ホルムアルデヒドなどを用いた化学固定のページへのリンク