ベクトルの共変性と反変性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/07 08:38 UTC 版)
多重線型代数やテンソル解析における共変性(英: covariance)と反変性(英: contravariance)とは、ある幾何学的または物理的な対象に基底変換を施した際に、それがどのように変化をするかを表す。物理学では、基底は基準とする座標系の軸としばしば同一視される。
概要

• 曲線上(黒色)の接基底ベクトル(黄色、図左:e1, e2, e3)
• 面(灰色)に対して法線をなす双対基底(青色, 図右: e1, e2, e3)
一般の3次元曲線座標系において、実空間上の点は数の組 (q1, q2, q3)によって示される。 基底とその双対基底は、基底が直交基底でない限りは一致しない[1]。
座標系のスケール変換は単位系の変更に関連する。
たとえば長さのスケールを考える。単位をメートル m からセンチメートル cm に変更する、すなわち長さの基準を 1/100倍に変える。このとき、長さの値は100倍になる。同様に位置ベクトルや速度ベクトルの各成分も 100 倍となる。このように、座標系の基準スケールを変えたときに、基準の変化とは逆の変化を要請することを反変性という。
この種のベクトルは長さや長さと他の次元の積の次元を持つ。対照的にその双対ベクトル(余ベクトルと呼ばれる)の次元は長さの逆か、それに別の次元を掛けたものになる。
双対ベクトルの例としては勾配が挙げられる。勾配は空間微分によって定義され、長さの逆の次元を持つ。双対ベクトルの成分は座標系のスケールが変わるときに同じ変化を要請する。これを共変性という。ベクトルおよび余ベクトルの成分は、一般の基底の変換に対しても同じような規則で変換される。
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