ヘリオポリスの創造神話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/06 09:11 UTC 版)
「古代エジプトの宗教」の記事における「ヘリオポリスの創造神話」の解説
ラー神は、アトゥム神の特徴や性格の一部を取り入れて、ヘリオポリス神学による世界の創造神ラー・アトゥムとして崇拝されるようになり、神官たちは、そのさまざまな特徴を明確にしようとした。この神は、ケプリとも同一視され、太陽を押して運ぶ甲虫として表現された。 天地創造神話の中で最も有名で優勢であった ヘリオポリスの宇宙創造神話を通じて、ラー独自の強力な役割が強調されていった。ここでは、ラーと宇宙の神々や他の神々との関係が明確にされている。天空や大地、風、太陽、月そして星々といった自然の神々は、この神話の中で重要な役割を果たすが、宇宙神でない神々は、小さな役割を担っているにすぎない。この神話の主な資料はピラミッド・テキストである。 この神話は、ふたつの九柱神のグループについて語っている。ひとつは、大九柱神と呼ばれる、ラー・アトゥム、シュウ、テフネト、ゲブ、ヌゥト、オシリス、イシス、ネフティス、セトから成り、もうひとつは、ホルスの指導の下に弱小の神々によって構成される、小九柱神と呼ばれるものである。 この神話に対抗するように、メンフィスでは、神官たちが自らの神であるプタハをブンと同一視し、プタハを中心にして発展させた、メンフィス神学を作り上げた。また、ヘルモポリスの地が、ヘリオポリス神学とメンフィス神学に次ぐ第三の神学の中心となっていった。この地では、神話は互いに矛盾なくさまざまな形を取り、その地と主な神々の優勢を確立しようとした。 他にも、新王国時代のテーベの創造神話のような別の神々と結びついたあまり重要でない神話もあった。
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