ブロックバスターの現状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/24 08:18 UTC 版)
「ブロックバスター (医薬品)」の記事における「ブロックバスターの現状」の解説
バイオックスの副作用問題発覚以降、FDAは新薬の承認に対してより厳格な姿勢を見せ、製薬企業も新薬開発により慎重になったといわれる。2006年には、年商200億ドル以上の超大型医薬になると期待された、ファイザーのトルセトラピブ(コレステリルエステル転送タンパク質阻害薬、いわゆる善玉コレステロールを増やす)の開発が中断となり、大きな衝撃を与えた。 また新薬開発の標的となるタンパク質も枯渇傾向にあるため、研究開発費も高騰し大企業でも特許期間中に費用を回収するのが難しくなっていることから、今後ブロックバスターとなるほどの新薬は出にくくなるのではという見方が強い。2010年前後に、多くのブロックバスターは一斉に特許切れを迎える2010年問題に対処するため、各社は莫大な資金を投じているが、2018年にはアステラス製薬と大正製薬が薬価の引き下げの影響も重なり、早期退職の募集を始めるなど、次のブロックバスターを開発できなかった会社の経営が悪化した。 既知の病気のみならず、未だ有効な治療薬がない分野や、患者の治療満足度が低い分野に対して注力して、研究開発することが重要である。このような治療薬が無い、あるいは有効な治療薬が強く望まれている治療領域をアンメット・メディカル・ニーズ(Unmet Medical Needs)と呼び、エイズ、がん、認知症、精神障害、アレルギー疾患などの充分な治療薬がない分野への新薬の投入が望まれている。 一例として、アンメット・メディカル・ニーズと言われていた2型糖尿病治療薬に対して、メルクが開発・発売したDPP-4阻害薬シタグリプチン(商品名:ジャヌビア)は発売後順調に売上げを伸ばし、ブロックバスターの仲間入りを果たしている。また、抗インフルエンザ薬・オセルタミビル(商品名:タミフル)の開発元で知られたギリアド・サイエンシズは、C型肝炎を根治できる治療薬として、ソホスブビル (商品名:ソバルディ)とレジパスビル(商品名:ハーポニー)を、相次いで自社ブランドで発売。ベンチャー企業から、有力な製薬会社として名前を挙げられるようになった。
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