フィターゼ生産作物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 16:18 UTC 版)
「遺伝子組み換え作物」の記事における「フィターゼ生産作物」の解説
フィチン酸(phytateは種子などの多くの植物組織に存在する植物における主要なリン酸の貯蔵形態である。フィチン酸はキレート作用が強く、多くの金属イオンを強く結合し、特にフィチン (phytin: 不溶性のフィチン酸の金属塩)の形で多く存在する。フィチン酸のリン酸残基は、非反芻動物ではフィチン酸加水分解酵素であるフィターゼがほとんどないため、消化・吸収されにくい。非反芻動物由来の糞便中から未分解のフィチン酸が環境に放出されると環境中で分解されてリン酸が遊離して水圏の富栄養化を招くこととなる。一方、ウシなどの反芻動物はルーメン(反芻胃)内の微生物によって作られるフィターゼが加水分解するためフィチン酸由来のリン酸を利用できる。 現在、フィチン酸由来のリン酸やフィチンとして不溶化されているミネラルの吸収を増す目的で非反芻動物の飼料には、微生物由来のフィターゼを添加することがある。そこで、フィターゼを飼料に添加しなくてもよいように糸状菌や大腸菌のフィターゼの遺伝子をトウモロコシやダイズで発現させてフィチン酸のリン酸の有効利用率を高める試みが行われた。更に、フィターゼ生産トウモロコシをニワトリに給餌してフィチン酸由来のリン酸の有効利用率が上昇していることが確かめられた。 その他、フィチン酸は金属イオンに対するキレート活性が高いためフィチン酸によって鉄の吸収が阻害されるが、鉄貯蔵タンパク質であるフェリチン(ferritin)とフィターゼを共に生産させたトウモロコシでは鉄分の有効利用率が有意に上昇していたという報告もある。
※この「フィターゼ生産作物」の解説は、「遺伝子組み換え作物」の解説の一部です。
「フィターゼ生産作物」を含む「遺伝子組み換え作物」の記事については、「遺伝子組み換え作物」の概要を参照ください。
- フィターゼ生産作物のページへのリンク