ファースト・シングス・ファースト2000
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/03/06 13:46 UTC 版)
「ファースト・シングス・ファースト」の記事における「ファースト・シングス・ファースト2000」の解説
ファースト・シングス・ファースト2000マニフェストは1999年に雑誌Adbustersが主体となって起案された。これは1964年のケン・ガーランドによるマニフェストのアップデート・ヴァージョンである。 2000年のマニフェストは世界各国の著名グラフィック・デザイナー33名が署名をしている。カナダのAdbusters誌に加えて、Emigre誌、アメリカのAIGA Journal of Graphic Design誌、Eye誌no. 33 vol. 8, Autumn 1999、英国のBlueprint誌、さらにオランダのItems誌で同時に発表された。マニフェストはこの後さらに多くの世界中の雑誌や書籍で紹介され、翻訳も行われている。ねらいはデザイン教育やメディアにおいて職能としてのグラフィックデザインのプライオリティに関する議論を提起することである。議論を歓迎するデザイナーもいれば、マニフェストへの賛同を拒否する者もあった。 価値体系から解放された(value-free)デザインに関する議論は、この業界では、デザインに価値体系との積極的な関わりを認める者と、理想的には価値基準から解放されるべきだと考える者の間で古くから続いているものである。デザインが価値体系から自由になれるはずだと信じている者は、グラフィックデザイナーは政治的な問題に関わるべき、とする考えを拒否する。そうでない者は、デザイナーは批判的な立場を保つべきであり、仕事の選択において立場を明確にするべきだと考えている。 後者の場合に考慮されるのは、たとえば、問題があると考えられる企業や製品のプロモートを断る、といった判断である。この立場に問題視されている対象にはたとえばタバコ産業、軍需産業等が含まれる。Adbusters誌はこうした立場を積極的に表明しており、デトゥルヌマン(detournement,芸術において作品を二次的に利用し、文脈の移し替えなどを利用する技法)あるいはカルチャー・ジャミングへの関わりにおいてこの傾向が顕著であるといわれる。
※この「ファースト・シングス・ファースト2000」の解説は、「ファースト・シングス・ファースト」の解説の一部です。
「ファースト・シングス・ファースト2000」を含む「ファースト・シングス・ファースト」の記事については、「ファースト・シングス・ファースト」の概要を参照ください。
- ファーストシングスファースト2000のページへのリンク