ファッジェ因子とヒルベルトの第15問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/03/30 15:34 UTC 版)
「数え上げ幾何学」の記事における「ファッジェ因子とヒルベルトの第15問題」の解説
次元の数え上げとベズーの定理のナイーブな適用は、誤った結果を導く。このことを次の例で示す。これらの問題の対応として、代数幾何学者たちは曖昧な『ファッジェ因子』(ぼんやりとした柔らかい因子とでも訳すべきか)を導入したが、この厳密な評価は何十年か後となってしまった。 例として、射影平面にある5本の直線が与えられたとき、この5本の直線に接する円錐曲線の数を数え上げることを考える。 もし点が一般の位置にあるのであれば、線形条件を通して、円錐が次元 5 の射影空間からなり、6つの係数を同次座標として持ち、5点が円錐を決定(英語版)する。同様にして、与えられた直線 L に接する(接するとは、多重度 2 の交叉数を持つことを意味する)ことは、二次式の条件であるから、P5 の中の二次超曲面(英語版)(quadric)を決定する。しかし、すべての 2次超曲面からなる因子の線形系(英語版)は、基本軌跡(英語版)(base locus)を持たない。実際、そのような各々の 2次超曲面はヴェロネーゼ曲面(英語版)(Veronese surface)を含んでいる。ヴェロネーゼ曲面は、次の「二重線」と呼ばれる円錐曲線をパラメトライズする。 ( a X + b Y + c Z ) 2 = 0 {\displaystyle (aX+bY+cZ)^{2}=0} この理由は、二重線は平面内のすべての直線と交叉するからで、射影平面内の直線は多重度 2 でほかの直線と交叉し、従って、直線に接する非退化な円錐曲線として、同じ交叉条件を満たす(交叉するときの多重度は 2)。 ベズーの定理は、5次元空間の中の 5次超曲面は 32 = 25 個の点で交叉するであろうことを言っている。しかし、適当な 2次超曲面は一般の位置にはない。32 個の中から、31 個が引き抜かれて、ヴェロネーゼ曲面に受け継がれ、正しい答へ至る(幾何学的な観点から)、すなわち 1 である。「退化」している場合との交叉に引き継がれる過程は、'fudge factor'の典型的な幾何学的導入部である。 これらが一見、任意の入り込んでしまう性質を克服するのが、ヒルベルトの問題(英語版)で(正確には、ヒルベルトの第15問題(英語版))である。この問題は、シューベルトの計算自体の基本的問題を超えている。
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