ファジィ論理と決定可能性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/23 22:40 UTC 版)
「ファジィ論理」の記事における「ファジィ論理と決定可能性」の解説
「決定可能部分集合」や「帰納的可算部分集合」は古典数学と古典論理の基本である。すると当然ながら、ファジィ集合論にそれらを拡張するという問題が生じる。このような方向性の最初の提案は、E.S. Santos による「ファジィ・チューリングマシン」、「マルコフ正規ファジィアルゴリズム」、「ファジィ・プログラム」の提唱だった。それに続いて L. Biacino と G. Gerla がそれらの定義が適正でないことを示し、次のようなことを提案した。Ü は [0,1] の有理数の集合を意味する。 ファジィ集合 S のファジィ部分集合 s : S → {\displaystyle \rightarrow } [0,1] が「帰納的可算」であるのは、帰納的写像 h : S×N → {\displaystyle \rightarrow } Ü が存在する場合で、それはすなわち S の全ての x について関数 h(x,n) が n に対応して増加し、s(x) = lim h(x,n) となる場合である。s が「決定可能」であるのは、s とその補集合 –s が共に「帰納的可算」の場合である。Gerla 2006でL-部分集合の一般ケースでのこうした理論の拡張が示されている。提案されている定義はファジィ論理ともうまく整合している。実際、次の定理が成り立つ(ファジィ論理の推論機構が明らかな有効的特性を満たしているならば)。 定理 どのような公理化可能なファジィ理論も帰納的可算である。一般に妥当な論理式のクリスプ集合が帰納的可算でないとしても、論理的に真である論理式のファジィ集合は帰納的可算である。さらに、公理化可能で完全な任意の理論は決定可能である。 ファジィ部分集合の帰納的可算性についての提案された観念が適正なものだとしても、ファジィ論理についてチャーチ=チューリングのテーゼが成り立つかどうかは未解決の問題である。そのためには、ファジィ文法やファジィ・チューリングマシンのさらなる研究が必要である。さらにその先にある未解決の問題として、ゲーデルの定理群のファジィ論理向けの拡張がある。
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