ビューエル
ビューエル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/18 16:37 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動ビューエル (Buell) は、アメリカ合衆国で生産されていたオートバイのブランドである。
本項では現在のエリック・ビューエル・レーシングについても記述する。
概要
1983年に当時ハーレーダビッドソンのエンジニアだったエリック・ビューエルがイギリス・バートン社製2サイクル四気筒エンジンを搭載したオリジナルバイクの「RW750」を製作したことを機に、1986年ビューエルモーターサイクルカンパニーを設立した。
ウィスコンシン州に設立した当時はハーレーダビッドソン製のエンジンをオリジナルフレームにマウントし、ハーレーダビッドソンと異なるロードスポーツバイクを製作し販売していた。
1998年、ハーレーダビッドソンにより買収されて社内ブランドとなってからは、必然的に「自社製」のエンジンを搭載したバイクを製造しているが、近年はエンジン部品をハーレーダビッドソンブランドの車両と共通にして用いることが多くなり、ハーレーダビッドソン車両全体の近代化に貢献した面がある。また2008年にはロータックス製水冷エンジンを搭載する1125シリーズを発売した。
ビューエルはアメリカ生産のスポーツバイクとしてユーザーからも一定の評価受けていたが、2009年10月にハーレーダビッドソン本社は第3四半期の売上低迷を受けてビューエルの生産を2009年10月末をもって中止し、スポーツ・バイク分野からは撤退することを発表した[1]。
ビューエルの特徴
ビューエルのオートバイは、他のメーカーにない特徴を持っている。
- ラバーマウントによりフレームとパワートレインを繋いでいる事による振動の伝達を抑えた乗り心地の良さ
- マフラーやサスペンションエンジンなど重い部品を車体中心の低部に集中させている事(マスの集中化)による、優れた操縦性
- 極端に立っているキャスター角やクラスの割には驚異的なショートホイールベースによる、軽快なハンドリング
- 既存のOHVエンジンとは一線を画した、俊敏で過敏なエンジンレスポンス
- 全ラインナップに前後フルアジャスタブルサスペンションを採用、よりきめ細かいライダーへの適応性
- 大径シングルローターによる、軽量なフロントブレーキシステム
XBシリーズに移行してからは、250ccクラス並の極端なショートホイールベースとリムマウントのフロントブレーキローターが更なる特徴となった。メインフレームはイタリア・ベルリッキ社製「フューエルイン・アルミツインチューブフレーム」(ステム後方のメインフレーム上部に給油口が有り、フレームの内部が燃料タンクになっている)であり、ブレンボ社製スイングアーム左腕にオイルタンクを内蔵するなど、更なる高剛性化とマスの集中化が行われている。極端に立ったキャスター角やホイールリムマウントの大径シングルディスクブレーキを採用するなど、少しの入力で挙動が大きく変わるという特徴はあるものの、日本製スーパースポーツにひけをとらない運動性能を誇る。
また、通常燃料タンクがあるべき位置にエアクリーナボックスを配置したダウンドラフト型フューエルインジェクションシステムを採用している。
シリーズ車種
- ファイヤーボルト - フロントカウルつきのスポーツタイプ。
- ライトニング - ネイキッドタイプ。
- ユリシーズ - 2006年モデルから追加されたマルチパーパスモデル。舗装路・未舗装路を問わない走行性能を持ち、今までのロードスポーツ一辺倒だったラインナップに新しく加わった。
Model | year | HP@RPM | Torque@RPM | 排気量(cc) | 乾燥重量(ポンド) | ホイールベース(インチ) | レイク角(°) | トレール(インチ) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
RW 750 | 1984 | 163.5@10500 | 83.6@9500 | 748 | 304 | 55.5 | 26 | 4.5 |
RR 1000 Battle Twin | 1986-1988 | 70@5600 | 70@4400 | 997.5 | 440 | 55.5 | 25 | 4.6 |
RR 1200 Battle Twin | 1988-1989 | 68@6000 | 72@4000 | 1203 | 440 | 55.5 | 25.5 | 4.3 |
RS 1200 Westwind | 1989-1990 | 68@6000 | 72@4000 | 1203 | 450 | 55.5 | 25.5 | 4.3 |
RS 1200-5,RSS 1200 Westwind | 1991-1993 | 68@6000 | 72@4500 | 1203 | 450 | 55 | 25 | 3.9 |
S2 Thunderbolt | 1994-1996 | 76@5200 | 76@5200 | 1203 | 450 | 55 | 25 | 3.9 |
S1 Lightning | 1996-1998 | 91@5800 | 85@5200 | 1203 | 425 | 55 | 25 | 3.9 |
S3 Thunderbolt | 1997 | 91@5800 | 87@5200 | 1203 | 450 | 55 | 25 | 3.9 |
S3T Thunderbolt | 1997 | 91@5800 | 87@5200 | 1203 | 465 | 55 | 25 | 3.9 |
M2 Cyclone | 1997-1998 | 83@5800 | 80@4500 | 1203 | 435 | 55 | 25 | 3.9 |
S1W White Lightning | 1998 | 101@6000 | 90@5500 | 1203 | 425 | 55 | 25 | 3.9 |
S3 Thunderbolt | 1998- | 101@6000 | 90@5500 | 1203 | 450 | 55 | 25 | 3.9 |
S3T Thunderbolt | 1998- | 101@6000 | 90@5500 | 1203 | 465 | 55 | 25 | 3.9 |
M2 Cyclone | 1999- | 91@6000 | 85@4900 | 1203 | 435 | 55 | 24.5 | 3.8 |
X1 Lightning | 1999-2002 | 101@6000 | 90@5500 | 1203 | 440 | 55 | 23 | 3.5 |
BLAST | 2000- | 34@6500 | 30@5500 | 492 | 360 | 55.3 | 25 | 3.4 |
XB9R Firebolt | 2003-2007 | 92@7200 | 70@5500 | 984 | 385 | 52 | 21 | 3.3 |
XB9S Lightning | 2002- | 92@7200 | 70@5500 | 984 | 385 | 52 | 21 | 3.3 |
XB12R Firebolt | 2004- | 103@6800 | 84@6000 | 1203 | 395 | 52 | 21 | 3.3 |
XB12S Lightning | 2004- | 103@6800 | 84@6000 | 1203 | 395 | 52 | 21 | 3.3 |
XB9SX Lightning City Cross | 2005- | 92@7200 | 70@5500 | 984 | 385 | 52 | 21 | 3.3 |
XB12X Ulysses | 2006- | 103@6800 | 84@6000 | 1203 | 425 | 54.1 | 23.5 | 4.8 |
XBRR (Racing) | 2006- | 150@8000 | 100@6400 | 1338 | 362 | 52.8 | 21 | 3.4 |
XB12S Lightning Long | 2007- | 103@6800 | 84@6000 | 1203 | 400 | 54 | 23.5 | 4.7 |
XB12STT Lightning Super TT | 2008 | 103@6800 | 84@6000 | 1203 | 400 | 54 | 23.1 | 4.7 |
1125R | 2008- | 146@9800 | 82@8000 | 1175 | 375 | 54.6 | 21 | 3.3 |
エリック・ビューエル・レーシング
ハーレーダビッドソンの撤退直後、エリック・ビューエルはエリック・ビューエル・レーシング(Erik Buell Racing 略称EBR)を設立し、再び自社製スポーツバイクの生産を目指すことになった。
2012年よりインドのヒーロー・モトコープと技術提携し、2013年には株式の過半数譲渡によりヒーロー傘下となる。2014年にはスーパーバイク世界選手権にシリーズ参戦した。
2015年にはヒーロー・モトコープとのパートナーシップ解消により破産
2016年に競売によりLiquid Asset Partnersが買収。
FUELL
2019年、エリック・ビューエルは新ブランド「FUELL」を設立し、電動オートバイ、電動自転車の開発をすることとなった。
脚注
外部リンク
ビューエル
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「ハーレーダビッドソン」の記事における「ビューエル」の解説
詳細は「ビューエル」を参照 ハーレーダビッドソンとスポーツバイクメーカーのビューエルの提携は、ハーレーが50基の余剰XRエンジンを提供した1987年から始まった。ビューエルは1993年までハーレーからエンジンを購入、その年ハーレーはビューエルの株式の49%を購入した。1998年には持ち株を98%まで増やし、2003年まで完全子会社とした。 初心者にオートバイへの関心を持たせ、特にハーレーダビッドソンに惹きつけるため、ビューエルは低コスト、メンテナンスの負担の少ないオートバイを開発した。その結果、2000年に単気筒のビューエル・ブラストが発表され、同モデルは2009年まで生産された。 2009年10月15日、ハーレーダビッドソンはビューエルの生産を停止すると公式発表した。その理由は生産をハーレーダビッドソンブランドに集中させるためであった。同社はビューエルの売却を拒否した。創業者のエリック・ビューエルはその後エリック・ビューエル・レーシングを設立、レース用オートバイの1125RRの開発と製造を続けた。
※この「ビューエル」の解説は、「ハーレーダビッドソン」の解説の一部です。
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