ヒトにおける4色型色覚
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 07:28 UTC 版)
ヒトを含む旧世界の霊長類(狭鼻下目)の祖先は、約3,000万年前、X染色体に新たな長波長タイプの錐体視物質の遺伝子が出現し、X染色体を2本持つメスのみの一部が3色型色覚を有するようになり、さらにヘテロ接合体のメスにおいて相同組換えによる遺伝子重複の変異を起こして同一のX染色体上に2タイプの錐体視物質の遺伝子が保持されることとなり、X染色体を1本しか持たないオスも3色型色覚を有するようになった。これによって、第3の錐体細胞が「再生」された。 ヒトにおいては4種類の錐体細胞を持った4色型色覚の女性が生まれうる。世界の女性の2~3%は4色型色覚であると発表されている。だが別の研究によれば女性で50%、男性で8%もの人々が4色の光色素を持つだろうという。いずれにせよ、ヒトにおける4色型色覚の実態は解明しきれていない。4色型色覚とされるヒトは、英国では2人確認されている。一人は1993年の研究で、"Mrs. M"と呼ばれるソーシャルワーカー。もう一人は医師のSusan Hoganである。世界中の人々の間での錐体色素遺伝子の変異は広範に及ぶが、最も一般的かつ顕著な4色型色覚は、色覚異常としてよく見られる赤緑色素の変異(赤色色弱)の女性キャリア(英語版)と考えられる。これはX染色体の不活性化によって赤錐体が色弱であるものとそうでないものが混合することで起こる。
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