「色覚」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 22:22 UTC 版)
色認知ではI群とII群で反応に違いのあることが報告されている。第I群(明暗弁のみ)では前述のように「まぶしい」という反応が主であるのに対し、術前ほんの少しであっても色の判別をできた第II群では「色が今までに経験ないほど鮮やかに感じた」という報告がある。ゼンデンは、術前に色知覚がなかった第I群であっても開眼後は色に関心が早くからあらわれ、色と色名を対応させる学習も容易であったと述べ、「手術後の視覚学習の過程で, 形を認知し得るまでに至らなかった開眼者は決して少なくないが, 色についてそれが困難だった開眼者は, 一人も見あたらない」と記している。「開眼後の初期には「色」の視知覚が「形」より早いという例を多数集めたゼンデンの本は、脳神経学の基本法則ともいえるヘッブ則を見出したカナダの神経心理学者ドナルド・ヘッブにも深い影響を与えた。 鳥居修晃は、先天盲開眼者の色知覚獲得過程は以下の3つの段階を経て進展するとしている。 色名の習得 → 2色の間の弁別 → 数種の「色」の識別 鳥居の観察例(生後10ヶ月で両眼失明、12歳で右目の虹彩切除手術)では、単独で色を認知してそれぞれの色名を言えるようになったとしても、2つの色を並べて弁別できるようになるにはさらに一定の学習時期を要し、色カードを3枚にすると「3つになるとどれがどれかわからなくなる」と述べたという。同被験者は、1年4ヶ月くらいで10数種類の色名を認識するに至ったが、黄色の同定には2年1ヶ月を要し、その時オレンジはまだ同定に至っていなかった。
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