ヒトにおける5mCの役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 05:53 UTC 版)
「5-メチルシトシン」の記事における「ヒトにおける5mCの役割」の解説
癌細胞においては、ゲノムDNAは過剰メチル化状態や低メチル化状態になることがある。過剰メチル化の例としては、遺伝子プロモーターと重複するCpGアイランドがde novoメチル化されることで、通常腫瘍の増殖阻害に関連する遺伝子の異常な不活性化を引き起こすものがある。癌細胞では正常組織と比べてDNMT1やDNMT3A、DNMT3Bの発現レベルが高く、これらは癌の5mCの異常なレベルに関連している。 サテライトDNA、Alu配列、および長い散在反復配列(LINE)を含むゲノム中の反復配列は、癌細胞において低メチル化されていることが多く、通常は発現しないはずの遺伝子の発現をもたらすため、その発現レベルは多くの場合で腫瘍進行の重要なマーカーになっている。高メチル化と低メチル化の間には関連があると推測されており、例えばDNAメチルトランスフェラーゼの過剰活性による異常な5mCメチル化の増加は、エピジェネティックな修復の一種である脱メチル化によって補償される可能性がある。しかし、メチル化の除去は非効率的であり、ゲノム全体の低メチル化のオーバーシュートをもたらしうるし、またその逆もありえる。 低メチル化領域における遺伝子の過剰発現は、ゲノム全体の高メチル化により抑制される可能性もある。このような癌細胞の顕著な特徴は、がん細胞とその周囲の微小環境内(腫瘍関連間質)の両方で、5mCを変化させる後成的変化を通じて獲得されている可能性が高い。
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