バロールの娘とキアンの民話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/04 02:21 UTC 版)
「ルー (神)」の記事における「バロールの娘とキアンの民話」の解説
グレゴリー夫人版では、バロールのもとから豊穣の牝牛グラス・ガヴナン(?)(アイルランド語: Glas Gaibhnenn)を奪い返しに行ったキアンと、バロールの娘とのあいだにルーが生まれる。グレゴリー女史の再話は、同類の民話の二つのバージョン(魔法牛グラスの項で詳述)をたくみに合成して首尾一貫した話を作り上げている。一方の民話では、キアンと名乗る一介の騎士?が、城主バラルのもとで働き、ほどなくバラルの娘に生ませた子や宝の牛を奪って逃げる。子供は、海神マナナーン・マクリルに預けて育てられ、ドルドナ (Dul Dauna) と名づけられる(これは綽名イルダーナハの転化で、長腕のルーをさす、と説明される)。この子が、ある日浜辺から、艦隊で通り過ぎる祖父バロールにむかって、ポケットからとりだしたダート(投げ矢)を投げつけ、これが命中してバロールは死んだ。 もう一篇の民話では、キアンのかわりにマック・キニーリーという人物が登場するが、やはり宝の牛グラス・ガヴナンにまつわる類似の民話である。マック・キニーリーは、守護霊の妖精女(バンシー)の助けを借り、邪眼の盗賊バロールの牙城トーリー島(英語版)で、バロールの娘が幽閉される獄塔に忍び入り、自分の子を孕ませる。マック・キニーリーはバロールに殺されるが、生まれてきた児(≒ルー)は亡き父の兄弟、鍛冶師ガヴィダに預けられ、その弟子として成熟する。このルーと思しき遺児は、ある日、鍛冶場に現れて槍の製作を注文したバロールから、自分の父親を殺した自慢話を聞かされ、赤熱した鉄棒でバロールの邪眼めがけて突き殺してしまう。
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