ハンバーグの誕生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 05:38 UTC 版)
18世紀前半、ドイツ・ハンブルクでは挽肉にパン粉を入れた料理に火を通すようになった。これがハンバーグの起源である。 この料理はドイツで「フリカデレ」 (frikadelle) と呼ばれ、労働者を中心に広がりを見せると、瞬く間にドイツの代表的な家庭料理となった。 フリカデレがドイツからヨーロッパ中に広まると、人々はハンブルクから来たこの料理を「ハンブルク風の料理」と呼ぶようになる。 ドイツ人がイギリスに渡ると、ハンバーグも伝わった。1758年にイギリスで出版されたハンナグラスの『The Art of Cookery Made Plain and Easy』 には「Hamburgh Sausage」という名称でレシピが収載されている。当時のハンバーグはみじん切りの牛肉、スエット、スパイスで構成されていた。 1870年代、多くのドイツ人がハンブルクからアメリカに渡るようになると、移り住んだドイツ人がアメリカでもドイツの郷土料理であるフリカデレを愛食し、ハンバーグは海の向こうへと伝わった。ハンブルクから広まったこの肉料理は、アメリカで「ハンブルクの厚肉焼き」を意味する「ハンバーグステーキ (Hamburg steak) 」と呼ばれるようになった。 しかし、当時のアメリカにおけるハンバーグの品質は決して高いものではなかった。ハンブルクは世界的に有名な牛種であるホルスタインの原産地として知られるドイツ・ホルシュタイン州と隣接しており、品質の高いウシから上質な牛肉を生産していたが、当時のアメリカのハンバーグは低品質の肉の切り身から作られていた。 現在、アメリカにおいてハンバーグが確認できる最古の文献は、1873年のニューヨークに存在したレストラン、デルモニコ (Delmonico's) のメニュー表であり、そこには「hamburger steak」と記されている。 このレストランでは、実際にチャールズ・ランホーファー(1836年 – 1899年)がハンブルクステーキの11セントプレートを顧客に提供したという記録も残っている。この価格は単純なビーフステーキの2倍にあたり、ハンバーグは高級食材として位置づけられていた。また、1894年にチャールズ・ランホーファーが出版した『The Epicurean:A Complete Treatise of Analytical&Practical Studies』という本には、「hamburger steak」のリストが掲載されている。 1876年、フィラデルフィア博覧会でドイツ人移民が多くのドイツ料理店を出店すると、当時珍しかったハンバーグは人気を博し、アメリカでも広く知られるようになった。
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