ハルステッド外科技法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/03 01:31 UTC 版)
「ウィリアム・スチュワート・ハルステッド」の記事における「ハルステッド外科技法」の解説
1904年、ハルステッドはそれまでの施術の集大成となるハルステッド外科技法を考案した。当時の手術は、1890年頃には血よけの前掛けをしていたのに代わり術衣(白衣とマスク、帽子)が普及し、患者の術野を滅菌布で覆うようにようになっていた。しかし、中には外出着のまま手術をする外科医もおり、素手で手術をするのが一般的だった。また、ハルステッドがベルビュー病院にいた頃から麻酔薬や無菌薬などが導入され始めていたが、これらは使い回されることもあり、多くの外科医は施術や治療に没頭しがちだった。そのため、素早く手術することも一つの理想とされていた。 ハルステッド外科技法は、ハルステッドの原則(英語版)とも呼ばれる6つの原則、つまり 組織の丁寧な扱い(gentle handling of tissue) 確実な止血(accurate hemostasis) 血液供給の維持(Preservation of blood supply) 解剖に沿った鋭的剥離(sharp anatomical dissection) 出血のないきれいな術野(clean & dry field) 集束結紮の回避(avoidance of mass ligation) に基づき、損傷と血液損失を最小限に抑えるべく、外科医が人体組織を尊重し、細心の優しさをもってそれらを「丁寧に(gentle)」「注意深く(carefully)」扱うという、秩序だった施術法である。しかも、丁寧に決められた工程を事前に決め、時間をかけて実践し、自然な治癒力(創傷治癒)などを重んじた上で完遂する外科技法を考案した。そのため、ハルステッドは止血鉗子のデザインに改良を加え、現代の止血鉗子に近づけたほか、縫合糸に上質な絹を使う事を指示した。 ハルステッドの下で学んだ医師たちも、こうした施術法を実践し、それを伝授した。1907年、ハルステッドのもとで学んでいたクッシングの下で、脳神経外科の創始者の一人であるウォルター・ダンディ(英語版)が学び始めている。
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