ノヤギによる影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 07:43 UTC 版)
ここで言うノヤギ(野ヤギ)は、家畜ヤギが野生化した個体である。家畜化の歴史の項で述べたように、船乗りたちは昔から必要時の肉資源として、孤島などにヤギを放して利用してきた。このほか過疎化等によって無人化した孤島に、家畜のヤギが取り残されて野生化することもある。 近年、このようなヤギ(ノヤギ)の増殖による生態系の破壊が問題となっている。ことにかつて船乗りたちがヤギを置き去りにした大洋の離島においては、離島産の固有植物がヤギにより著しく食害され絶滅を危惧されるまでに至っているため、ヤギは世界の侵略的外来種ワースト100の1種に選定されている。 日本では、南西諸島、小笠原諸島の無人島の聟島列島や、伊豆諸島の無人島である八丈小島、尖閣諸島などでノヤギの数が増え、植生破壊や農業被害及び土壌流失による周辺漁場への悪影響等の問題が起こっており、外来種による生態系破壊の中でも最も深刻なケースの一つとなっている。小笠原諸島では、当初は動物愛護の観点から捕殺ではなく、ヤギを生け捕りにして、ヤギを食べる習慣のある沖縄へ送っていたが、長旅のストレスにより多くのヤギが死亡したため、生け捕り後安楽殺(薬殺)という手段に変更した。八丈町は捕獲したヤギを八丈島に保護・収容して里親を募集したこともある。尖閣諸島の魚釣島では、日本の右翼団体によって1978年に与那国島からヤギ(ザーネン種)(雄雌各1頭)が持ち込まれ、300頭を超えるまでに爆発的に増加した。各地のヤギ対策は現在も続いている(聟島列島では完全に根絶した)。
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