ノックアウト_(1914年の映画)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ノックアウト_(1914年の映画)の意味・解説 

ノックアウト (1914年の映画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/31 03:25 UTC 版)

ノックアウト
The Knockout
監督 チャールズ・アヴェリー
脚本
製作 マック・セネット
出演者 ロスコー・アーバックル
ミンタ・ダーフィ
エドガー・ケネディ
チャールズ・チャップリン
フランク・オッパーマン
アル・セント・ジョン
ハンク・マン
マック・スウェイン
撮影 フランク・D・ウィリアムズ
配給 キーストン・フィルム・カンパニー
公開 1914年6月11日
上映時間 27分
製作国 アメリカ合衆国
言語 サイレント映画
英語字幕
テンプレートを表示
The Knockout

ノックアウト』(The Knockout) は、1914年公開の短編サイレント映画キーストン社による製作で、監督はチャールズ・アヴェリー英語版。1971年に映画研究家ウノ・アスプランドが制定したチャールズ・チャップリンのフィルモグラフィーの整理システムに基づけば、チャップリンの映画出演17作目にあたる[1][注釈 1]

日本語表記の別名は『デブの選手[2]

あらすじ

ボクサーのパグ(ロスコー・"ファッティ"・アーバックル)は周囲におだてられた末に、サイクロン・フリン(エドガー・ケネディ英語版)との「勝者総取り」の試合に臨むこととなった。試合ではパグとフリンはレフェリー(チャップリン)にパンチを浴びせかけ、レフェリーはふらふらになりながらも仕事を務めた。やがてパグはなぜか二丁拳銃を手に入れ、アリーナ狭しとフリンを追い掛け回す。そこにキーストン・コップスの一団が現れ、パグを海の中までも追いかけて捕縛する[3]

背景・評価

『ノックアウト』はあくまでアーバックル扮するパグとケネディ扮するフリンが主人公であるが、公開の時点ではポスターのようにチャップリンの名前が強調されてチャップリン映画の一つとして売り出された[4]。チャップリンの出演時間はおよそ2分程度であるが、客寄せの意味で出演したか手空きの俳優がいれば例外なく出演させるキーストン映画の流儀の一つのどちらかと考えられている[4]。しかし、わずか2分程度の出演とはいえその演技には『チャップリンの拳闘』や『街の灯』のボクシングシーンに通じるものがあり、強烈なパンチを食らったあと、座り込んだ態勢のままロープを頼りに移動してテンカウントを数えるギャグについてチャップリンの伝記を著した映画史家のデイヴィッド・ロビンソン英語版は、「ほかの部分とは水と油ほど違う」と評している[4]。チャップリンの登場シーンは他のシーンと比較して優れているのでチャップリンが監督したのではないか、という説が過去にあったが、この説は現在では否定されている[5]。アーバックルは、チャップリンの演技が目立つことによって自分の影が薄くなっても作品の出来がよくなるなら良しとしたという[5]

ノンフィクション作家で映画史家のテッド・オクダ英語版は、ミンタ・ダーフィ扮するパグの女友達が変装しながら試合を観戦するシーンについて「女性が男性優位のスポーツを見ることすらはばかられた時代を象徴するもの」とし、女子ボクサーが主題の『ガールファイト』(2000年)や『ミリオンダラー・ベイビー』(2004年)を見たことがある人が見れば、おそらく興味深く映るだろうと述べている[6]

本作は『ニュー・シネマ・パラダイス』でボクシングのシーンがアルフレッドの上映する映画という設定で使われている。また、熊切和嘉監督の『#マンホール』でも、この映画が登場する[7]

クライマックスの屋敷でのシークエンスは、『醜女の深情け』のセットを流用している。

キャスト

  • ロスコー・アーバックル:パグ[8]
  • ミンタ・ダーフィ:パグの女友達[8]
  • エドガー・ケネディ:サイクロン・フリン[8]
  • チャールズ・チャップリン:レフェリー[8]
  • フランク・オッパーマン英語版:ボクシング興行師[8]
  • アル・セント・ジョン英語版:パグのライバルのボクサー[8]
  • ハンク・マン:ボクサー
  • マック・スウェイン:金を賭けている男[8]
  • マック・セネット:観客
  • ルーブ・ミラーフランス語版:無作法な観客[8]

etc

脚注

注釈

  1. ^ 1914年製作、2010年発見の『泥棒を捕まえる人』を除く

出典

  1. ^ #大野 (2007) p.252
  2. ^ #ロビンソン (下) p.441
  3. ^ #Ted Okuda p.44
  4. ^ a b c #ロビンソン (上) p.165
  5. ^ a b ウェブマガジン「キネプレ」で、チャップリン誕生日記念イベントを紹介‼|インフォメーション|新着情報|おもちゃ映画ミュージアム”. おもちゃ映画ミュージアム. 2025年5月16日閲覧。 “彼の出演シーンは絶賛され多くの批評家の評価は高い。他のシーンと比較してあまりにもすばらしいのでここだけはチャップリンが監督したのではないかという説があった。この説は現在では否定されている。(中略)アーバックルは、チャップリンの演技が目立つことによって自分の影が薄くなっても作品の出来がよくなるなら良しとした。”
  6. ^ #Ted Okuda p.46
  7. ^ 盛況のうちに「チャップリンと喜劇の黄金時代」上映会💖|コラム|スタッフブログ|おもちゃ映画ミュージアム”. おもちゃ映画ミュージアム. おもちゃ映画ミュージアム. 2024年6月15日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h (英語) The Knockout (Short 1914) - Full cast & crew - IMDb, https://www.imdb.com/title/tt0004194/fullcredits/ 2025年5月31日閲覧。 

参考文献

外部リンク


「ノックアウト (1914年の映画)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ノックアウト_(1914年の映画)」の関連用語

ノックアウト_(1914年の映画)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ノックアウト_(1914年の映画)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのノックアウト (1914年の映画) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS