ニューロフィラメントの発見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 16:38 UTC 版)
「ニューロフィラメント」の記事における「ニューロフィラメントの発見」の解説
神経生理の実験モデルとして使用されてきたイカの巨大軸索(giant axon)から分離抽出されたのが最初である(Huneeus FC et al, 1970)。その後、哺乳動物であるラット、ウサギ、ウシの脳や脊髄後根神経節、坐骨神経などからも軸索を構成する細線維性蛋白として抽出され、微小管とは異なる10 nm径の神経細胞特異的な中間径フィラメントとして報告されるようになった。通常のイオン強度の抽出液ではグリア細胞のGFAPなどとの分離は難しい。8M尿素変性などにより可溶化されるが純化された蛋白を、SDS-PAGEなどで分析するとグリア由来のGFAPなどが混入するため4本以上のバンドが出現する。このうちニューロフィラメントに固有の蛋白は分子量の異なる3種類のアイソフォーム(isoform)で構成されていることが明らかになり、それぞれNF-H (分子量200kD)、 NF-M (分子量160kD)、 NF-L (分子量68kD)と略称されるようになった。3つを併せてneurofilament triplet proteinsとも呼ばれている(Liem RKH et al, 1978)。これらのサブユニットは異なる遺伝子にコードされているが、生成される蛋白はα-ヘリカル構造を有する長鎖ポリペプチドである。神経細胞内に分布するニューロフィラメントは程度の差はあれリン酸化された蛋白として存在しており、特にNF-H、NF-Mのような長鎖蛋白のC末端部のポリペプチドにはリン酸化部位が集中している。これらリン酸化された分子量の大きなニューロフィラメントは細胞体より軸索や樹状突起に優位な分布を示している。
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