ニューロフィラメント抗体の病理診断への応用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 16:38 UTC 版)
「ニューロフィラメント」の記事における「ニューロフィラメント抗体の病理診断への応用」の解説
病理診断の領域では、NF-H, NF-M, NF-Lに対するモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学的染色が種々の腫瘍で試されている(Mukai M et al., 1986)。神経細胞への分化を示すパラガングリオーマ、神経節神経腫、神経節神経芽腫、神経芽腫はすべてで抗NF-L 抗体(68-kDa)に陽性であったが、抗NF-M 抗体、抗NF-H 抗体陽性率は低かった。また、神経内分泌腫瘍である肺小細胞癌でも抗NF抗体陽性と報告されている。現在、神経芽腫や神経内分泌腫瘍に関してはより特異性と感度に優れた免疫組織化学的なマーカーが診断に応用されており、外科病理の領域での抗NF抗体の需要はそれほど高くない。神経細胞の局在や神経突起の存在を証明するには微小管蛋白であるβ-tubulinや微小管関連蛋白であるMAP2、さらには従来からあるneuron specific enolase (NSE)などの方が安定した結果を得られる。 今日、神経病理学のツールとして重宝されているのはリン酸化されたNF subunitを特異的に認識するモノクローナル抗体であり、レビー小体(Lewy body)など過剰リン酸化されたニューロフィラメント変性産物の証明に用いられている。Trojanowski JQらが開発したモノクローナル抗体のシリーズはInvitrogen-Zymed社()から入手可能で、様々なレパートリーのニューロフィラメント抗体が用意されている。
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