ナットキングコールとは? わかりやすく解説

ナット・キング・コール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/08 07:10 UTC 版)

ナット・キング・コール
Nat King Cole
基本情報
出生名 Nathaniel Adams Coles
生誕 1919年3月17日
出身地 アメリカ合衆国 アラバマ州モンゴメリー
死没 (1965-02-15) 1965年2月15日(45歳没)
ジャンル ジャズ
職業 歌手ピアニスト
担当楽器 ピアノ
活動期間 1930年代 - 1965年
レーベル キャピトル・レコード
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ナット・キング・コールNat King Cole1919年3月17日 - 1965年2月15日[1]は、アメリカジャズピアニスト歌手

本名はナサニエル・アダムズ・コールズ(Nathaniel Adams Coles)。「キング」は愛称[2]

経歴

コールは、アラバマ州モンゴメリーで生まれた。父はバプテスト教会牧師[3]、母・ペリーナは教会のオルガン奏者だった。[2]コールは12歳まで母からオルガンを習った。

1930年代からピアニストとして活動。スウィング・ジャズ時代末期の傑出したピアニストとしての業績を残した。1939年ピアノギターベースのシンプルな編成からなる「ナット・キング・コール・トリオ」を結成し、 ビッグバンドの時代におけるコールの編成は革新的と観られ、トリオバンド流行の火付け役となった。

コールはピアニストとして高く評価されていたが、艶と暖かみのあるスモーキーな声も絶賛され歌手としても大活躍し、数多くのヒット曲を世に送った。1944年に歌手として「ストレイトン・アップ・アンド・フライ・ライト(Straighten Up and Fly Right)」を大きくヒットさせた[1]

1948年3月28日、歌手のマリア・エリントンと結婚[4]。5子を儲ける。1950年代以降はジャズからポピュラー界に軸足を移し、テレビにも多く出演し広く大衆的な人気を得た。

1950年以降の歌唱では、「モナ・リザ(Mona Lisa)」「スターダスト」「ルート66」「トゥー・ヤング(Too Young)」「ホエン・アイ・フォール・イン・ラブ」「ネイチャー・ボーイ(Nature Boy)」などが知られる。「スマイル」は、もともと喜劇王チャールズ・"チャーリー"・チャップリンの映画『モダン・タイムス』のテーマ曲(インストゥルメンタル)であるが、コールのレコードのために歌詞が加えられたものである[4]。53年にはジャズとR&Bのミュージシャンが参加したコンサート「Cavalcade of Jazz」が開催されたが、コールはロイ・ブラウン、ショーティ・ロジャーズ、アール・ボスティックやルイ・アームストロングらと共に出演した[5]。コールはポピュラー音楽界で人気者となったが、1956年には、正統派のジャズアルバム「アフター・ミッドナイト(After Midnight)」を発表し、ジャズのベイシックに戻った。58年にはアフリカ系アメリカ人として初めて、テレビのレギュラー・ホスト番組『ザ・ナット・キング・コール・ショー』をNBC系列で放送し始めた[6]。またコールのマネージャーがヒスパニック系だったため、コールは58年にはキューバハバナへ飛び、「コール・エスパニョール」というスペイン語アルバムを録音している。

1961年にシングル「レット・ゼア・ビー・ラヴ(Let There Be Love)」がイギリスでヒットした。

コールは1965年2月15日、カリフォルニア州サンタモニカの病院で肺癌のため45歳で死去した。1964年の「L-O-V-E」がコールの生前最後のヒット曲となった(後述の通り6カ国語で歌われており、日本語版も録音されている)[7]

人物

コールは1961年と1963年の2回来日しており、初来日の1961年にはTBSテレビに出演、自社のCスタジオで収録した特別番組『ナット・キング・コール・ショー』が同年5月14日に放送され[10]、2回目の来日である1963年2月には東京・赤坂の高級キャバレーニューラテンクォーター」でライブショーを行った。

親族

  • 歌手のナタリー・コールは娘。1991年に父親の声をオーバーダビングさせたデュエット曲「アンフォゲッタブル」をヒットさせた[2]
  • 弟のアイク・コール(Ike Cole)、フレディ・コール(Freddy Cole)もジャズ・ピアニストや作曲家として活動した[2]。アイクは日本でも歌手として活動、ジェリー・ウォレスの「男の世界」をカバーしたり、日本語で歌唱した「マイ・ボーイ/夜のカレンダー」をリリースしたりするなどした。フレディの子、ライオネル・コール(Lionel Cole)もキーボード奏者、音楽プロデューサーとして活動している。

ディスコグラフィ

  • 「スターダスト」(1956年)
  • ザ・クリスマス・ソング
  • 「パパ・ラブズ・マンボ」
  • 「モナ・リサ」
  • ルート66
  • 「トゥー・ヤング」
  • 「プリテンド」
  • 「キサス・キサス・キサス」
  • 「ネイチャー・ボーイ」
  • 「ラムブリング・ローズ」
  • 「暑い夏をぶっとばせ」
  • 「ブロッサム・フェル」
  • 「センド・フォー・ミー」
  • L-O-V-E英語版(1964年)
    • 同名タイトルのアルバム(1965年)にも収録。
    • 末期がんを押して日本語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、フランス語のバージョンも録音され、収録直後に入院し死去した[11]
    • 美空ひばりもコールの大ファンとして知られ[2]、1965年9月に発売した追悼アルバム「ナット・キング・コールをしのんで-ひばりジャズを歌う」の中でカヴァーし、「ラヴ」として収録。同時期には夏木ひろしがシングルでカヴァーし、「ラブ」として収録(B面はトリニ・ロペスのカヴァー「サンフランシスコ・デ・アシシ」)。青山ミチがシングル「世界の恋は君のもの」の中でカヴァーし、「LOVE」として収録。
    • スウィングガールズ - 出演者達によるカバー・バージョンをエンディングに使用。
    • あなたとハッピー!ニッポン放送)- 毎週金曜日のオープニングトークの後に流される。

脚注

  1. ^ a b BIOGRAPHY - ナット・キング・コール - UNIVERSAL MUSIC JAPAN
  2. ^ a b c d e “ナット・キング・コール|楽曲表現と個性発揮の見事な両立【ジャズ・ヴォーカル・コレクション09】”. サライ.jp. (2016年8月26日). https://serai.jp/hobby/83544 
  3. ^ a b 『日本のナット・キング・コール白川』神奈川新聞社、2007年、89-90頁。ISBN 978-4876454112 
  4. ^ a b “ナット・キング・コール〜20世紀を代表する偉大なシンガーは、もともと“歌わないはずの”ピアニストだった〜”. TAP the POP. (2018年2月15日). https://www.tapthepop.net/day/41495 
  5. ^ Reed, Tom. (1992). The Black music history of Los Angeles, its roots : 50 years in Black music : a classical pictorial history of Los Angeles Black music of the 20s, 30s, 40s, 50s and 60s : photographic essays that define the people, the artistry and their contributions to the wonderful world of entertainment (1st, limited ed.). Los Angeles: Black Accent on L.A. Press. ISBN 096329086X. OCLC 28801394.
  6. ^ ヘイゼル・スコットとナット・キング・コール”. smithsonian.com. the first black performer to host nationally syndicated television show. 2021年1月15日閲覧。
  7. ^ Masaharu Yoshioka (2014年10月6日). “○★ナット・キング・コールの日本語版「ラヴ(L-O-V-E)」”. Wax Poetics Japan. GruntStyle Co.,Ltd.. 2018年4月19日閲覧。
  8. ^ Famous Masons
  9. ^ A few famous freemasons”. Grand Lodge of British Columbia and Yukon A.F. & A.M. 2014年10月31日閲覧。
  10. ^ TBSチャンネル『音楽の巨人たち〜TBSのライブラリーから、50年ぶりによみがえる〜 #5 ナット・キング・コール(1961年)“TBS Cスタ”』(2025年6月30日閲覧)
  11. ^ ナット・キング・コールが日本語で歌ってくれた「L-O-V-E」をカヴァーして歌い継いだ美空ひばり”. TAP the POP (2020年1月8日). 2020年3月27日閲覧。




固有名詞の分類

ポピュラー音楽の音楽家一覧 (個人) ナッピー・ブラウン  アラン・ホワイト  ナット・キング・コール  ヴィニー・ムーア  ジョン・ボーナム
アメリカ合衆国の歌手 ポール・レカキス  ジュリー・ニューマー  ナット・キング・コール  アリソン・ミシェルカ  ナンシー・シナトラ
アフリカ系アメリカ人のミュージシャン ナッピー・ブラウン  アーヴェル・ショウ  ナット・キング・コール  スローターハウス  レイ・ブライアント
アメリカ合衆国のジャズ・ミュージシャン エルビン・ジョーンズ  デューク・エリントン  ナット・キング・コール  サド・ジョーンズ  フィル・ウッズ
ジャズ・ボーカリスト トニー・ベネット  ジョセフィン・ベーカー  ナット・キング・コール  マーク・マーフィー  レナ・ホーン
アメリカ合衆国のジャズ・ピアニスト デューク・エリントン  ジム・ビアード  ナット・キング・コール  レイ・ブライアント  ディック・マークス

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