ベートーヴェン:ドレスラーの行進曲による9つの変奏曲
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ベートーヴェン:ドレスラーの行進曲による9つの変奏曲 | 9 Variationen über einen Marsch von E.C.Dressler WoO.63 | 作曲年: 1782年 出版年: 1782(83?)年 初版出版地/出版社: Götz |
作品解説
ベートーヴェンが12歳のとき、師ネーフェの勧めで作曲し、初めて出版した作品である。当時の変奏曲は、ピアニスト兼作曲家にとって、即興的な変奏技法の披露および演奏の技巧性のアピールのための最適な手段であったが、それと同時に、若い作曲家にとっての習作を受け入れるジャンルでもあった。若いベートーヴェンは、ここを出発点として、その後の多彩な創作活動に踏み出したのである。
主題は、テノール歌手でもあったエルンスト・クリストフ・ドレスラー(1734-79)の行進曲である。ハ短調という調性は、交響曲第5番《運命》やピアノ・ソナタ第8番、第32番などの特徴的な作品に用いられていることから、ベートーヴェンの作品においてしばしば特別視される。だがそうしたことを考慮しなくとも、最初の作品に彼が短調を選択したことは興味深い事実である。また、最終変奏でハ長調に転じていることも注目に値するだろう。
主題の構成は8+8小節という標準的なものであり、短調のために葬送行進曲のような落ち着きをもって開始する。変奏のいくつかは、伴奏の変化や旋律の細分化といった典型的なものだが、中には分散和音や音階によって和声のみを維持するという手法もみられる。
ドレスラーの行進曲による9つの変奏曲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/09 22:13 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動ドレスラーの行進曲による9つの変奏曲 ハ短調 WoO63(ドレスラーのこうしんきょくによる9つのへんそうきょく ハたんちょう WoO63、独: Neun Variationen über einen Marsch von Ernst Christoph Dessler c-moll)は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが1782年にピアノのために作曲した変奏曲[1]。
概要
ベートーヴェンの最初の出版作品で、11歳の時に書かれた作品だが、当時は10歳という詐称した年齢で出版された[2]。ベートーヴェンの初期の重要な師であるクリスティアン・ゴットロープ・ネーフェの勧めで出版され、マンハイムで印刷されている。主題を書いたエルンスト・クリストフ・ドレスラーは、ゴータやケルントナートーア劇場、カッセルで活動した宮廷音楽家・テノール歌手・作曲家で、3年前の1779年に亡くなったばかりだった。
1803年にはほんの少し改稿しただけで、新版の刊行をベートーヴェンが許可している[3]。これは、報酬が手に入るとなると、古い時期に作曲された取るに足らないような作品の出版を、ベートーヴェンが断ることができなかった証拠である[3]。この再版時には「ドレスラー」の名前は削除されたが、10歳で作曲したという事実はそのまま残っている[3]。
演奏時間
約12~15分。
楽曲構成
主題と9つの変奏からなっている。
マエストーソ、4分の4拍子の単純でぎこちないハ短調の行進曲主題を用い、変奏では慣習的な書法で右手か左手のどちらかで主題を提示し、和声構造も主題を保った形で進行する[1]。後のベートーヴェンの作品と比べると、かなり単純である[3]。最終変奏はハ長調になる。
脚注
注釈
出典
- ^ a b ロックウッド 2010, pp. 73–75.
- ^ ロックウッド 2010, pp. 73–74.
- ^ a b c d ロックウッド 2010, pp. 75.
参考文献
- ルイス・ロックウッド『ベートーヴェン 音楽と生涯』土本英三郎・藤本一子[監訳]、沼口隆・堀朋平[訳]、春秋社、2010年11月30日。ISBN 978-4-393-93170-7。
外部リンク
- ドレスラーの行進曲による9つの変奏曲の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト
- ドレスラーの行進曲による9つの変奏曲 - ピティナ・ピアノ曲事典
- ドレスラーの行進曲による9つの変奏曲 - オールミュージック
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