ディーゼルノック
ディーゼルエンジン特有の打音現象。噴射された燃料が着火遅れにより一瞬の間をおいて瞬時に燃焼し、圧力上昇率が急激に大きくなることによって発生する。燃焼室内の温度が低くなる冷間時や、低速運転中に着火遅れ期間が長くなるため発生しやすい。噴射時期が早すぎたり、燃料のセタン価が低いときにも発生しやすい。
参照 着火遅れディーゼルノック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/30 14:42 UTC 版)
ディーゼルノックとは、着火性の悪い燃料を使用した場合に生じるディーゼルエンジン特有の燃焼状態である。着火性の悪化に伴って着火遅れが大きくなるためエンジン内で燃料と空気の混合が正常に進まず、一部の燃料が爆発的に燃焼するためシリンダー内部の圧力が急上昇して異常な振動が発生する。ガソリンエンジンのノッキングは異常燃焼であるのに対して、ディーゼルノックはあくまで正常燃焼に伴って発生するものである点で大きく異なる。しかし、騒音や振動、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)やすすの低減の為にはディーゼルノックの発生を抑えなければならない。
ディーゼル燃料の着火性はセタン価によって表される。セタン価が高いほど着火性に優れるため、ディーゼルノックが発生しにくくなる。ガソリンエンジン等でおこるスパークノックは着火しやすいことによって発生するのに対し、ディーゼルノックは着火しにくいことによって起きる。同様に、ガソリンのオクタン価と軽油等のセタン価には負の相関があり、セタン価60はオクタン価0に、セタン価0はオクタン価100に相当する。
ディーゼルエンジンは点火プラグを持たず、断熱圧縮による空気の温度上昇によって燃料を自然発火させるため、圧縮比(圧縮率)が大きいほど着火性が良くなる傾向にある。このため、過給器等の利用で圧縮率を高めると、ある程度ディーゼルノックの発生を予防できる。
また、この他のアプローチとして、初期噴射量を少なくするためのカムプロフィールや噴射ノズル開弁圧の多段化などの工夫、フミゲーション、M-燃焼などが挙げられる。
コモンレール式のディーゼルエンジンでは、応答速度に優れるソレノイド(電磁弁)またはピエゾアクチュエータを備えたインジェクターを用いることにより1行程で8回程度まで細分化して噴射することが可能となった。これにより、燃焼時の圧力と温度のピークを下げてNOxと騒音の発生を抑えつつ、燃焼時間を伸ばすことで、少ない燃料から十分なエネルギーを取り出している。
関連項目
ディーゼルノック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/04 01:30 UTC 版)
ディーゼルエンジンは空気を断熱圧縮して温度が上昇したところに噴射ノズルにより燃料を噴射して自己着火させる。燃焼室内の温度上昇や燃料の微粒化が不十分な場合には、燃料は自己着火せずに未燃焼のまま燃焼室内に残り、過量の燃料が存在することになる。本来、ディーゼルエンジンは膨張行程の間、連続した燃焼が起こるが、燃焼室内の過量の燃料は一気に燃焼する。そのため、過大な圧力変動が発生し、振動やエンジン部品破損の原因となる。ディーゼルノックを防止する方法として、燃料の十分な微粒化・吸気の加熱・着火しやすい燃料の使用などが挙げられる。燃料の着火しやすさの指標としてセタン価がある。 前述のスパークノックは着火しやすいことによって発生するのに対し、ディーゼルノックは着火しにくいことによって起きる。同様に、オクタン価とセタン価には負の相関があり、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}セタン価60はオクタン価0に、セタン価0はオクタン価100に相当する[要出典]。
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