テンソル積に基づく定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/29 01:53 UTC 版)
詳細は「テンソル空間」を参照 数学的応用に際しては、より抽象的やり方の方が有効なこともある。これは普遍性を通じて定義できるベクトル空間のテンソル積の元としてテンソルを定義することによってなされる。この文脈では、(p, q)-型テンソルはベクトル空間のテンソル積の元 T ∈ V ⊗ ⋯ ⊗ V ⏟ p copies ⊗ V ∗ ⊗ ⋯ ⊗ V ∗ ⏟ q copies {\displaystyle T\in \underbrace {V\otimes \dots \otimes V} _{p{\text{ copies}}}\otimes \underbrace {V^{*}\otimes \dots \otimes V^{*}} _{q{\text{ copies}}}} として定義される。 一般に、vi が V の基底を成し、wj が W の基底を成すとき、テンソル積空間 V ⊗ W は自然な基底 {vi ⊗ wj} を持つ。テンソル T の成分は、V の基底 {ei} とその双対基底 {εj} から得られる基底に関するテンソルの係数 T = T j 1 … j q i 1 … i p e i 1 ⊗ ⋯ ⊗ e i p ⊗ ε j 1 ⊗ ⋯ ⊗ ε j q {\displaystyle T=T_{j_{1}\dots j_{q}}^{i_{1}\dots i_{p}}\;e_{i_{1}}\otimes \cdots \otimes e_{i_{p}}\otimes \varepsilon ^{j_{1}}\otimes \cdots \otimes \varepsilon ^{j_{q}}} に等しい。テンソル積の性質を用いて、この成分が (p, q)-型テンソルの変換則を満たすことが示せる。さらに言えば、テンソル積の普遍性により、今定義した意味でのテンソルと多重線型写像として定義した意味でのテンソルが一対一対応することが言える。 テンソルは極めて一般に(例えば任意の環上の加群まで含めて)定義することができる。一つの原理として「『テンソル』とは単に任意のテンソル積空間の元である」と定めることはできるが、数学の文献では「テンソル」とは上記のように一つの空間 V とその双対から得られるテンソル積(テンソル空間)の元のために用いるのが普通である。
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