ダウンレンジ加速
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 06:04 UTC 版)
ピッチオーバーの後は、ロケットの飛行経路は完全に垂直ではなくなるため、重力の作用により飛行経路は地面に向かって曲がっていく。ロケットが推力を発生していなかった場合、飛行経路はボールを投げた場合と同様単純な楕円になり、やがて水平を通り越して地面へと落下していく。しかし、ロケットは推力を発生しているため、水平を向くまでに安定した軌道に投入するに足る十分な高度と速度を得ることができる。 多段ロケットの場合、各段の分離とエンジン点火との間にはある程度エンジン燃焼を停める時間が必要であるが、ロケットの設計によっては、各段の燃焼開始までに追加で慣性飛行する時間が必要となる場合がある。ロケットの推力が大きい場合には特に、すぐ燃焼を始めるとロケットが重力により水平方向を向くよりもはるかに前に燃料を使い果たしてしまうため、慣性飛行時間は長くなる。この手法は、地球など大気の厚い惑星からの打ち上げの場合にも有効となる。慣性飛行中にも重力により飛行経路は回転しつづけるため、ピッチオーバー角をより小さくとることができ、そのぶん垂直速度を大きくとり、大気圏からより速やかに脱出することができる。これにより、打ち上げ時の空力損失と空力負荷の両方を軽減することができる。その後、慣性飛行中に大気圏よりも上でロケットは水平になるため、迎え角がゼロの状態でエンジンを再点火すれば機体は水平方向に加速されて軌道へと投入される。
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