ダウンフォースの必要性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/10 16:20 UTC 版)
「ダウンフォース」の記事における「ダウンフォースの必要性」の解説
現代のレーシングカーでは、加減速を機敏にするために車体重量を抑えつつ、タイヤのグリップ力を確保するために、空力によるタイヤ負荷の上昇すなわちダウンフォースを得るように設計されている。 タイヤの摩擦力を単純に表すと 摩擦力=摩擦係数×垂直抗力(=タイヤを地面に押し付ける力) であるが、規則によりタイヤの摩擦係数は全車両でほぼ同一であるため、グリップ力を高め、コーナリングパワー(CP)を稼ぐには、タイヤを地面に押し付ける力を増加させなければならない。しかし車体全体の質量を増加させてこれを実現した場合は、カーブ走行中に慣性力と慣性モーメントが大きくなり不利な上、加減速も鈍くなるため、車体重量を増加させずにタイヤを地面に強く押し付ける必要があった。そこでウイングを装着し空気の力で車体を下向きに押し付ける方法が考案された。空力でタイヤを地面に強く押し付けても車体の質量が増えたわけではないので、慣性は大きくならず車の機敏な動きを妨げることはない。 直線路においても高速走行時にはタイヤの路面追従性の低下が起こるが、適度なダウンフォースでタイヤを地面に押しつけることによりこれを防ぎ、操縦安定性の悪化やタイヤの空転、最悪の状況である「リフト」の発生を抑制することができる。 大きなウイングなどで強いダウンフォースを得られれば旋回時の速度限界を上昇させることができるが、同時に誘導抗力(空気抵抗)も増すことになり直線走行時の最高速度や高速走行時の加速性能が犠牲になるため、そのバランスは重要である。
※この「ダウンフォースの必要性」の解説は、「ダウンフォース」の解説の一部です。
「ダウンフォースの必要性」を含む「ダウンフォース」の記事については、「ダウンフォース」の概要を参照ください。
- ダウンフォースの必要性のページへのリンク