タイ共産党とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > タイ共産党の意味・解説 

タイ国共産党

(タイ共産党 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/01 13:23 UTC 版)

タイ国共産党の党旗

タイ国共産党พรรคคอมมิวนิสต์แห่งประเทศไทย, 1952年~) あるいはタイ共産党 (พรรคคอมมิวนิสต์ไทย, 1942年12月1日~) あるいはシャム共産党は、シャム(タイ)王国で1930年に結成された共産主義政党。略称はCPT (พ.ค.ท.) ただし、「タイ共産党」の名で政治政党として正式に成立したのは1942年12月1日である。1952年以降タイ国内では非合法政党となっている。タイ国共産党のうち武装した部隊をタイ国人民解放軍あるいはPLATと呼ぶ。

歴史

東南アジア地域での共産党の活動は、華僑印僑(例:インド人港湾労働者に結成されたビルマ共産党)によるところが大きい。シャムの南、英領マラヤ(現在のシンガポールマレーシア)で活動していた中国共産党広東省委員会に属する南洋共産党は北方のシャムにまで活動ネットワークを広げ、その指導の下に1927年以降南洋共産党シャム特別委員会が誕生した。一方、同じシャムの東北部ではベトナム青年革命会の流れを受けついだ共産主義グループが存在しており、この2つのグループが1930年4月に統合することでシャム共産党は誕生した。しかしながら、南洋共産党シャム特別委員会はマラヤ共産党(1930年南洋共産党から改名)と同様、華僑を中心とした組織であり、もう一方の共産主義グループもベトナム移民によって構成されたものであった。そのためシャム共産党は、結党の時点ではシャム(タイ)人党員は一人も存在しなかった。シャム共産党は、このような事情でマラヤ共産党、インドシナ共産党との結びつきが極めて強く、両党との密接な関係下で活動展開をしていった。

付け加えれば、シャム共産党、マラヤ共産党、インドシナ共産党、フィリピン共産党の結成年は全て同じ1930年である。

1976年血の水曜日事件以降学生を中心とした民主活動家が北部の山岳地帯に逃げ込み共産党の活動に参加した。1982年に時の首相、プレームが特赦をもって投降するよう呼びかけ徐々に弱体化。1987年に最後の武装部隊(トン・チェームシーが指揮)が投降した。

これらの元共産党員の活動家の中には、1992年以降の民主化によって国政に参加した者もいる。愛国党の副秘書でタクシン・シナワット内閣で運輸省副大臣を務めたプームタム・ウェーチャヤチャイ英語版、農業省副大臣を務めたプラパット・パンヤーチャートラック(通称、アイ・カーンヤーオ)、情報通信技術省大臣を務めたスラポン・スープウォンディー、副首相やエネルギー大臣などを務めたプロミン・ルートスリデートなどがいる。タクシン政権は旧共産党の人脈を活用したため、タイを秘密裏に共産主義国家に変えようとしていると反タクシン派(民主市民連合など)が主張するフィンランド・プロット英語版と呼ばれる陰謀論の対象となった[1]

ちなみに2006年9月クーデターの後2008年までタイ王国の首相を務めていたスラユット・チュラーノンの父親もタイ国共産党の幹部である。

定義

タイに於いては1952年に制定された反共法以降、共産主義者の定義が成された。同法律題三条によれば、「国王を君主とする民主主義体制に背く」ことや、「国家の経済政策を転向させようとする行為」、これらの目的のために「社会の秩序を乱したりする」者や様々な活動を行う者であると明言されている[2]一方、逆にプリーディー・パノムヨンの様に、思想的には共産主義的であったが、政府から共産主義者でないとする「お墨付き」までもらっている人物もいた[3]

これらのことから、タイに於いては必ずしも、「共産主義者=共産主義思想の持ち主」ではないことに注意する必要がある。

関連項目

参考文献

外部リンク

  • Thai Solidality・・・(タイ語)共産主義に関するタイのサイト。タイ国共産党の小史あり。

脚注

  1. ^ The Bangkok Post, "Manager sued for articles on 'Finland plot'" Archived 2006-09-17 at the Wayback Machine., 31 May 2006
  2. ^ 矢野暢『冷戦と東南アジア』中央公論社、1986年、295~296頁
  3. ^ 村嶋英治『現代アジアの肖像 9 ピブーン』岩波書店1996年、207頁

「タイ共産党」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「タイ共産党」の関連用語

タイ共産党のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



タイ共産党のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのタイ国共産党 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS