スロベニア語での使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/26 14:18 UTC 版)
「ガイ式ラテン・アルファベット」の記事における「スロベニア語での使用」の解説
1840年代初頭以降、ガイのアルファベットはスロベニア語の記述でも多用されるようになった。初期のころ、スロベニア語をクロアチア語の1変種と考える人々(例えばスタンコ・ヴラス(英語版)など)によって主に使用されたが、後に様々な立場のスロベニア人の著者たちの間でガイ式アルファベットが受け入れられていった。ひとつの突破口となったのは、スロベニア人の保守派の指導者ヤネス・ブライヴァイス(英語版)がガイ式アルファベットを、地方で幅広く読まれる「クメティイスケ・イン・ロコデルスケ・ノヴィツェ(英語版)(農業・職工ニュース)で使用しはじめたことであった。1850年にはガイ式アルファベット(スロベニア語ではガイツァ gajica)は唯一の正式なスロベニア語のアルファベットとなり、それまでスロベニア人の地で用いられていた3つの記述方式に取って代わるものとなった。それまでのスロベニア語の表記法には、伝統的なボホリッチ式(英語版)(アダム・ボホリッチ(英語版)に由来)か、ペテル・ダインコ(英語版)が提唱したダインコ式(英語版)、フランツ・セラフィン・マテルコ(英語版)が提唱したマテルコ式(英語版)があった。 スロベニア語とクロアチア語のアルファベットの違いは以下のとおりである: スロベニア語のアルファベットでは「ć」と「đ」を用いない。これらの文字に対応する音価はスロベニア語には存在しない。 方言によっては、「lj」や「nj」が2文字として扱われる。例えば、ポリェ(polje)はクロアチア語では/poʎe/と発音されるのに対して、スロベニア語では/polje/と発音される。 音価/dʒ/はスロベニア語にも存在し、「dž」と書かれるが、この音はもっぱら借用語のみに現れる。「dž」は1つの文字ではなく、「d」と「ž」の2文字として扱われる。 スロベニア語の正書法はセルビア・クロアチア諸語にくらべると表音主義的ではない。たとえば、「e」は/e/、/ɛ/、/ə/の3通りの発音が、「v」には/ʋ/、/w/の2通りの発音がある。また、子音クラスタにおける子音の無声化・有声化は表記には反映されない。例えば、「ゴミ捨て場」を意味する単語はセルビア・クロアチア諸語では「otpad」だが、スロベニア語では「odpad」と書かれる(どちらもtp / dpの部分の発音は/tp/である)。
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