ジダンの「頭突き」と「読唇術」
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「読唇術」の記事における「ジダンの「頭突き」と「読唇術」」の解説
2006年7月9日にベルリンで行われた2006 FIFAワールドカップ決勝における、ジネディーヌ・ジダンのマルコ・マテラッツィに対する頭突き事件後には、「読唇術の専門家」と称するイングランド人、ジェシカ・リースが「タイムズ」紙の依頼によって問題のシーンのビデオを検証し、マテラッツィがジダンに対してイタリア語で「テロリストの息子」「ファック・オフ」という内容の侮辱を行っていることを突き止めたという内容の報道がなされた。ただ、ジェシカ・リースはイタリア語話者ではなく、「タイムズ」紙によれば、彼女は「イタリア語翻訳者」の協力を得てこの分析を行ったという。ちなみにBBCが依頼した読話者は、「お前とお前の家族は無様に死ねば良いのさ」という内容をマテラッツィが発話したと結論した。 これらの報道の内容の信憑性についてであるが、既述のように、読話によって得られる発話内容の情報は、最善の条件下においても(真正面・至近距離・ゆっくりと明瞭な発話・読み取り手が母語とする言語)30%から40%であり、発話文脈の考慮による発話内容の推測も難しいことを考えると、たとえビデオ映像を何度も繰り返し再生して読み取りを試みたとしても、さほど信頼が置けるものとは言い難い。BBCと「タイムズ」の報道内容の著しい違いからも、読話の難しさが窺えるだろう。 最終的にはジダンもマテラッツィもFIFAも人種差別的な発言の存在は否定した。後にマテラッツィが語ったところによれば、ジダンが「そんなにユニフォームが欲しいなら、後でくれてやる」と言い、マテラッツィは「それならお前の姉妹の方がいい」と答えたのだという。
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