シレ_(潜水艦・初代)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > シレ_(潜水艦・初代)の意味・解説 

シレ (潜水艦・初代)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 14:41 UTC 版)

シレ
シレ(1938年1月6日)
基本情報
建造所 OTO社ムッジャーノ造船所[1]
運用者  イタリア王立海軍
級名 アデュア級
艦歴
起工 1937年1月30日[1]
進水 1938年1月6日[1]
就役 1938年3月25日[1]
最期 1942年8月10日戦没[1]
要目
排水量 水上680トン、水中844トン
全長 60.18m
最大幅 6.45m
吃水 4.70m
機関 ディーゼルエンジン 2基、電動機 2基
最大速力 水上14ノット、水中7.5ノット
航続距離 水中:74海里/4kt
水上:3,180海里/10.5kt
乗員 36名
兵装 53.3cm魚雷発射管6門(前部4門、後部2門)
100mm砲1門(1940年に取り外され、代わりに3つの人間魚雷発射装備を設置)
テンプレートを表示

シレ(Scirè、シーレ、シィーレ、スキーレなど[注釈 1])は、第二次世界大戦中にイタリア海軍で使用された潜水艦。1930年代に建造されたアデュア級潜水艦の一隻。イタリア領東アフリカの一部であったエチオピア北部のシレ(en:Shire, Ethiopia)にちなんで名付けられた。

艦歴

シレは1938年1月6日にラ・スペツィアOTO造船所で進水し、1938年4月25日に就役した[2]。開戦時、ラ・スペツィアに拠点を置く第15部隊(第一潜水艦集団所属、指揮官:アドリアーノ・ピニ)に配属された。1940年7月10日、地中海西部を哨戒中、フランスの貨物船Cheik(1058 GRT)をサルデーニャ島北部のアスマーレ・ライトから54nmの海域で撃沈した。

1940年夏、シレはマイアーレと呼ばれる人間魚雷の搭載を可能にする改修工事を行った。司令塔のサイズを小さくし、デッキガンを撤去し、マイアーレを収容するために3つの水密シリンダーがデッキに取り付けられた[3]。これらのシリンダーの重量はそれぞれ2.8トンで、最大潜水深度は90メートルまでだった。1940年9月24日、艦長ユニオ・ヴァレリオ・ボルゲーゼの指揮下の元、ジブラルタルで行われる最初の特別任務のためにラ・スペツィアから出撃した。9月29日の夕方、ジブラルタル海峡に到着したが、攻撃目標だったイギリス海軍のH部隊が地中海を離れて大西洋で活動したため、シレは作戦を一時停止し、基地に帰投した。

1940年シレはジブラルタル湾を攻撃し、3本のマイア―レを出撃させた。だが出撃したマイアーレは英海軍戦艦・バーラムから100メートルのところに立ち往生したため攻撃は成功しなかった[4]。1941年9月20日、シレはジブラルタル湾を再び攻撃し、3隻のタンカーを攻撃、うちフィオナ・シェル(2444 GRT、1892)が沈没し、他の2隻のRFAデンビーデール(2145 GRT)とMSダーラム(10893 GRT)が損傷した。イタリア海軍はスペインに恒久的な拠点を作ることを決め、最終的にはアルヘシラスに係留されていたオルテラ(英語)と呼ばれる船を海軍の破壊工作活動のための恒久的な基地に変えた[4]

シレは敵の海域で多くの任務を達成した。これらのうち、最も重要なのは1941年12月3日に行われた。シレは3つの人間魚雷を携えてラスペツィアを出港し、エーゲ海レロス島で6名のフロッグマン部隊と合流した。12月19日には、エジプトのアレクサンドリア港沖に到着、マイア―レ部隊を発進させた。出撃したマイア―レ部隊は戦艦ヴァリアントと戦艦クイーン・エリザベスとタンカー1隻、駆逐艦ジャーヴィスを大破させる戦果を上げた(アレキサンドリア港攻撃)。

1942年8月10日、シレは、ハイファ湾をマイア―レ部隊で攻撃する任務を実行中にイギリス海軍のトロール船アイラ(英語)によって、港から約11キロ(5.9 nmi)の海域で攻撃され、沈没する前に短時間浮上したが、その際に第300沿岸砲兵部隊に砲撃され止めを刺された[5]

32メートル(105フィート)の深さにある沈んだシレの残骸は、人気のダイビングスポットとなり、またイスラエル国防軍のシャイェテット・13部隊の訓練場所になった。1984年にイタリア海軍イスラエル海軍の共同式典が行われ、艦首部分は引き揚げられイタリアに返還された。

脚注

[脚注の使い方]
注釈
  1. ^ 日本語表記は資料によりまちまちではっきりしない。
脚注
  1. ^ a b c d e "Scire (6110609)". Miramar Ship Index. 2009年3月8日閲覧
  2. ^ Chesneau, pp. 309–10
  3. ^ Bagnasco, p. 154
  4. ^ a b Jackson, Sir William G. F. (1990). The rock of the Gibraltarians : a history of Gibraltar (2nd ed.). Grendon: Gibraltar Books. p. 286-267. ISBN 0948466146 
  5. ^ 300 Coast Bty War Diary, 1942, The National Archives, Kew, file WO 169/4674.

関連項目

外部リンク


「シレ (潜水艦・初代)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「シレ_(潜水艦・初代)」の関連用語

シレ_(潜水艦・初代)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



シレ_(潜水艦・初代)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのシレ (潜水艦・初代) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS