シャニダール1号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/13 01:29 UTC 版)
「シャニダール洞窟」の記事における「シャニダール1号」の解説
シャニダール1号 (Shanidar 1) は、高齢のネアンデルタール人男性で、発掘者からは「ナンディ」(Nandy) という名で呼ばれた。彼の年齢は40歳から50歳の間で、ネアンデルタール人としては十分に高齢であり、深刻な変形(奇形)のしるしが見られた。彼は洞窟から発見された4体の十分完全な骨格の1つであるが、外傷性の異常を負っており、日常生活を痛みに満ちたものにしたであろう消耗を示していた。 彼は人生のいずれかの時点で顔面の左側に激しい打撃を受け、左眼窩を粉砕骨折した。これは、片目の部分的な、あるいは完全な盲目をもたらしたであろう。彼の右腕は、数か所にわたって骨折と治癒の痕跡があり、さらには下腕と手が失われていた。これは先天性のもの、小児期の疾患や外傷によるもの、成長後の切断によるもののいずれかであると考えられている。腕は治癒していたが、負傷は彼の右半身に麻痺をもたらしたらしく、彼の下肢と足の変形につながった。歩行は足を引きずるものとなり、顕著に痛みを伴ったであろう。 死に至るまでの長い生涯に受けたこれらの傷は、すべて広範な治癒を示している。このことから、ネアンデルタール人たちは病人や高齢者の世話をし、集団の中で気遣ったという推測もおこなわれている。ただし、外傷と治癒の双方を示すネアンデルタール人人骨は、シャニダール1号が(この遺跡のみならず)すべて考古資料において唯一の事例である。
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