システム生物学のモデルとしての出芽酵母
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「システム生物学」も参照 出芽酵母S288C株のゲノムの全塩基配列が、1996年に真核生物として初めて、米欧日から組織された国際チームから発表された。発表当初16本の染色体上に5885個の蛋白質をコードする遺伝子があると予想されたが、その後の様々な見直し作業により、2003年7月現在、6569個に修正されている。 このことを契機として、これまでの個別の遺伝子、タンパク質を解析する立場とは異なり、細胞全体の遺伝子発現(マイクロアレイ、SAGE 法)、タンパク質量(プロテオーム)を解析しようという機運が生じ、これらのシステム生物学とも呼ぶべき新しい方法論を開発していくモデルとして、出芽酵母が盛んに利用された。また、あらゆる遺伝子について、それぞれを破壊した株のコレクションがつくられ、それらに対して様々な表現型を解析する研究が進行している。その他に、全てのタンパク質間の相互作用をツーハイブリッド法やTAP精製法で解析すること、全てのタンパク質に緑色蛍光タンパク質 (GFP) を融合させてその局在を解析することなども行われている。 このような状況が生まれる背景としては、個々の因子について従来からの知識の蓄積が多いこと、またそれらを記述したデーターベースがよく整備されていたことも重要だったと思われる。これらの網羅的な方法論が、今後どのような展開をもたらすのか注目されている。
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