システムダイナミクスからシステム思考(狭義)へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 10:01 UTC 版)
「システム思考」の記事における「システムダイナミクスからシステム思考(狭義)へ」の解説
システムダイナミクスは、システム内でつながり合う要素同士の関係を、ストック・フロー・変数・それらをつなぐ矢印の4種類で表す。その分析(定量分析)には微積分の知識や専用のコンピュータソフトの助けが必要であり、またこの仕組みを知らない人への説明が難しい。そこで、このモデルの要素である変数のつながり、フィードバック関係を直感的にわかりやすく説明するツールとして、「因果ループ図」が提案された。因果ループ図は、要素間の因果関係を有向グラフ(ダイグラフ)として表し、その構造を利用して振舞の特徴把握や定性的な分析を行うものであり、主に経営・経済問題の分析など定量的な把握が困難なものに関して用例が見られる。このシステムダイナミクスの定性モデルをポピュラーにしたのが、ピーター・センゲの「The Fifth Discipline(ISBN 0385517254、邦訳『最強組織の法則』(徳間書店))で、同書は因果ループによるシステム思考をコアにしながら、ビジネスの組織と人間の行動、学習する組織について論じている。同書を契機にこの因果ループ図を活用したシステムダイナミクスの定性モデリング手法は、「システム思考」として広く利用されるようになった。現在「システム思考」という言葉を使う際、世の中をシステムとして捉え「システム」「情報」「制御」を柱として課題解決を図るための思考法全体を指す場合と、システムダイナミクスの定性分析手法としての「システム思考」を指す使い方がある。慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科では、前者を「広義のシステム思考」、後者を「狭義のシステム思考」と区別して使用している。
※この「システムダイナミクスからシステム思考(狭義)へ」の解説は、「システム思考」の解説の一部です。
「システムダイナミクスからシステム思考(狭義)へ」を含む「システム思考」の記事については、「システム思考」の概要を参照ください。
- システムダイナミクスからシステム思考へのページへのリンク