シクロヘキサノンからシクロヘキサノンオキシムの合成法
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シクロヘキサンの酸化により得られたシクロヘキサノンを、ヒドロキシルアミン硫酸塩を用いてシクロヘキサノンオキシムに変換する。ヒドロキシルアミンの製造には古典的なRaschig 法、NO 還元法(BASF)、HPO 法(DSM)の 3 法がある。Raschig 法は亜硝酸アンモニウムをSO2で還元してジスルフォネートとし、次いで加水分解してヒドロキシルアミン硫酸塩とする方法である。この方法では、大量の硫酸アンモニウムが副生してその量はカプロラクタムに対して重量比で 2.3 倍に達する。NO 還元法ではアンモニアを酸素で酸化して NO とし、これを硫酸水溶液中でPt/C 系触媒により水添することによってヒドロキシルアミンの硫酸塩が製造される。この工程ではカプロラクタムに対して0.7 重量倍の硫酸アンモニウムが副生する。HPO 法(DSM)では、リン酸/硝酸アンモニウム緩衝液中で硝酸イオンを Pd 触媒の存在下で水素還元してヒドロキシルアミンとするもので、硫酸アンモニウムを全く副生しない。 ヒドロキシルアミンを使用しない合成法として、エニケム社によりチタノシリケートゼオライトのTS-1触媒(チタンおよびケイ素からなる)により、過酸化水素、アンモニアをシクロヘキサノンに反応させ、シクロヘキサノンオキシムを得る方法開発された。 ヒドロキシルアミンを使用しない合成法として、NHPI(N-ヒドロキシフタルイミド)触媒と亜硝酸第3級ブチルを用いたラジカル反応により、シクロヘキサンをニトロソシクロヘキサンに変換し、これをアミンと反応させてシクロヘキサノンオキシムとする方法が開発された。この方法では次段階のベックマン転移を、塩化シアヌル触媒によ行、ワンポット合成であるため全収率は約75%に達する。
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