サルモネラ汚染率
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 05:42 UTC 版)
卵のサルモネラの要因には、サルモネラに感染した鶏がサルモネラを含んだフンをし、そのフンが鶏卵の表面(卵殻)に付着し残ったままになったり、感染した鶏の体内で卵殻が形成される前に卵巣や卵管を経由してサルモネラが卵の中に侵入してしまうということがある(卵の中に侵入するのはごく一部の血清型:サルモネラ・エンテリティディスなど)。鶏がサルモネラに感染した場合、ヒナでは下痢などの症状が見られることがあるが、成鶏では多くの場合症状はみられない。しかし鶏卵や鶏肉を通じて人が感染した場合は、食中毒を引き起こす原因となる。 日本国内患者から検出されたサルモネラの血清型が一番多かったのはサルモネラ・エンテリティディスと呼ばれるサルモネラ菌だが、このサルモネラ・エンテリティディスについて、2004-2005年に EFSA(欧州食品安全機関)はEU内で鶏の飼養形態ごとの調査を行っており、ケージ(cage)、平飼い(barn)、放牧(free range standard)、オーガニック(organic)比較で、ケージ飼育が最もサルモネラ・エンテリティディス率が高いという結果であった。 そして日本国内患者から検出されたサルモネラの血清型が上位に入っていたサルモネラ・ティフィムリウムについても同様の調査が行われているが、こちらの結果もケージ飼育において最もサルモネラ・ティフィムリウム率が高くなっている。 このEUの報告とは別に、2006年から2010年の間に行われた15の科学的研究のいずれもが、ケージ飼育においてサルモネラ菌の割合が高いと示している。 また採卵効率をあげるために実施される給餌制限(強制換羽)とサルモネラの関係の調査では、強制換羽を行った場合、「鶏がサルモネラに感染しやすくなる」「サルモネラに感染している鶏はふんの中に大量のサルモネラを排せつする」「サルモネラ・エンテリティディスに感染している鶏の卵の内部にサルモネラ・エンテリティディスが侵入する割合が高くなる」との報告がある。報告は、鶏の免疫機能の低下や消化管細菌叢に大きな変化を引き起こし、給餌を制限されてストレス状態にある鶏は、サルモネラ感染のリスクが高くなるとしている。 基本的に強制換羽を実施するのはケージ飼育であり、平飼いや放牧飼育では強制換羽は行われないので、ケージ飼育のほうがサルモネラのリスクがさらに高くなるとも言える。
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