ケカビ目の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/02/13 05:24 UTC 版)
ケカビの場合、球形の胞子嚢の内部が細胞分裂して胞子となるとき、中心部に分裂しない部分が残り、これが柱軸である。この部分は表面がはっきりした細胞壁で区切られ、その内部は胞子嚢柄と連続している。胞子が成熟すると胞子嚢壁がくずれて胞子は放出されるが、その後には胞子嚢柄と柱軸が残る。柱軸は丈夫で胞子嚢柄が崩れてもその形を崩さないことが多い。胞子嚢の大きさによって柱軸の大きさにも差があるのが普通。 柱軸の形は分類群によってやや異なるが、同一株内でも変異があり、それほど明確な特徴とはならない。しかしある程度は傾向があり、ケカビでは円形、楕円形、あるいはヒョウタン形などで、クモノスカビではドーム型、ユミケカビでは円錐形で、先端に小突起を持つものが多い。 ケカビの場合、柱軸の基部で胞子嚢柄が絞ったようになり、その境界がはっきりしているが、ユミケカビなどでは、胞子嚢柄の先端は次第に幅広くなって柱軸に続くので、胞子嚢の基部は先に向かって円錐形に広まっている。この部分をアポフィシスと言い、これがあるかどうかは分類上で重要な特徴とされている。 ケカビ類のなかで、大型の胞子嚢をつけるものでは、ほとんど柱軸が形成される。ウンベロプシスは大型の胞子嚢を作るが、柱軸はごく小さいかほとんどない。クサレケカビ目のクサレケカビも類似した大型の胞子嚢を作るが、柱軸は形成せず、胞子が散布された後の胞子嚢柄の先端は単にそこから先が折れてなくなったようになるか、わずかに胞子嚢壁が襟状に残る。この類では柱軸を形成しないのが特徴となっている。 小胞子嚢では柱軸を作るものもあるが多くない。分節胞子嚢では柱軸は形成されない。 なお、柱軸の役割はよく分からない。クモノスカビの場合、胞子嚢壁が壊れた後、柱軸が傘のように広がり、その表面に胞子が並ぶようになるので、胞子の散布になんらかの役割をもっているかもしれない。
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