クロンバックの α 信頼性係数
アンケート調査などで,対象とする領域のある特性を測定するために複数の質問項目への回答の合計値(特に尺度得点と呼ばれる)を使うことがある。尺度に含まれる個々の質問項目が内的整合性を持つかどうか(目的とする特性を測定する質問項目群であるか)を判定するために用いられる。
ケース i の変数 j の得点を Xij とし,総ケース数を n,変数 j の平均値と不偏分散を






である。合計点 Y の不偏分散は,上式ではなくて通常の計算方法で求めて良い。
クロンバックの α 信頼性係数はこれらの諸量により次式で求められる。

注意: 尺度得点は単なる合計点ではないことに注意が必要である。個々の質問項目に対する回答の選択肢に数値を割り当てるときには,質問項目の意味を考えて配点しないといけない。たとえば「社交性」を評価する尺度を構成する質問項目に「どんな人ともすぐに友達になれる」と「知らない人と話すのは苦手である」というのがあり,「はい」,「どちらでもない」,「いいえ」という選択肢を用意してあるとする。尺度得点が高得点ほど社交性があるとするなら,「どんな人ともすぐに友達になれる」は「はい→2」,「どちらでもない→1」,「いいえ→0」とするが,「知らない人と話すのは苦手である」は「はい→0」,「どちらでもない→1」,「いいえ→2」にしなければならない。
クロンバックの α 信頼性係数はガットマンが提出した合計得点の信頼性係数に対する一群の下限推定値のうちの L3 と全く同等である。変数の数を 2 個とすれば,ガットマンの折半法における下限推定値 L4 に等しい。また,平行モデルにおける諸仮定が正しいとすれば,クロンバックの α 係信頼性数は信頼性係数の最尤推定値にあたる。
クロンバックの α 信頼性係数は,通常,0.8 以上でなければ妥当な尺度とはみなせない。尺度内に目的とする特性を測定するとはいえない質問項目が含まれていると,クロンバックの α 信頼性係数の値が小さくなる。そこで,このような不適当な質問項目を特定するために以下のような補助的な分析を行うとよい。
- α'当該アイテムを除いたときのクロンバックの α 信頼性係数
この数値が大きい場合は,当該アイテムは尺度を構成するアイテムとしては不適切であることを意味する。
- r' 当該アイテムを除いた合計と当該アイテムとの相関係数
この数値が小さい場合は,当該アイテムは尺度を構成するアイテムとしては不適切であることを意味する。
- R2 当該アイテムとそれ以外のアイテムの重相関係数の二乗
これは,当該アイテムを従属変数とし,それ以外のアイテムを独立変数としたときの重回帰分析で得られるものである。
従ってこの数値が小さいアイテムは,他のアイテムと共通部分が小さく,尺度を構成するアイテムとしては不適切であることを意味する。
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