カルタゴの建国神話に基づく伝記
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 16:28 UTC 版)
「ディードー」の記事における「カルタゴの建国神話に基づく伝記」の解説
フェニキアの都市国家テュロスの国王の娘で幼名はエリッサ(Elissa)といった。父の弟でメルカルトの神官をしていたシュカイオスと結ばれて同じく巫女として仕えていた。父の死去の際、彼女と兄のピュグマリオーンが共同で国を治める様に遺言された。ところが、兄は王位の独占と叔父の財産目当てに遺言に違えてシュカイオスを暗殺し、ディードーの命をも狙った。そこで彼女は全てを捨てて心ある家臣たちとともに航海に出たのである。 ディードーの一行は途中キプロス島で豊饒の女神アスタルテーに仕える神官と神殿に献上される予定であった乙女達を受け入れながら旅を続け、現在の北アフリカ・チュニジアの地に辿り着いた。そこで彼女はこの地の王であるイアルバースに土地の分与を申し入れた。イアルバースは1頭の牝牛の皮が覆えるだけの土地であれば分与しても良いと応えた。そこで彼女は牝牛1頭分の皮を細かく引き裂いてビュルサの丘の土地を取り囲み、砦を築くだけの土地を得た。この地が後のカルタゴとなった。 古代ギリシアの歴史家ティーマイオスによれば、これを見たイアルバースは彼女の才能に惚れて求婚した。だが、亡き夫の死の際に決して再婚しないと誓っていた彼女はこれを拒んで火葬の炎の中に飛び込んで自らの命を絶ったという。
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