アリストテレスのエートス論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 17:08 UTC 版)
「エートス」の記事における「アリストテレスのエートス論」の解説
アリストテレスが著書『弁論術』で述べたところによると、エートスは説得法の重要な三つの方法的条件の一つ(他はロゴスとパトス)である。まず、始めに話者はエートスを確立しなくてはいけない。この言葉は単に「道徳の能力」を意味するが、アリストテレスはこれに専門的意見と知識(エピステーメー)を加えた。アリストテレスは特に、エートスは、聞き手の予想によってではなく、話者の発言により生み出されるべきとした。この考え方はしばしば非難の的となり、イソクラテスなどは、エートスはとりわけ道徳的な特徴、またその話者の生涯と結びついているとした。 エートスには三つのカテゴリーがあり、発言の状況に従って、低次から高次へと発展する。 フロネシス - 実践的な技術と知 アレテー - 徳・美徳 エウノイア - 聞き手に対する好意 エートスは話者にではなく、聞き手に属する。聞き手がその話者が高いエートスかそれとも低いエートスを持っているかを判断する。エートスの反則にはたとえば以下のものがある。 話者が会話の結果に直接の関心を持つ(例えば、無実を主張している人) 話者が会話の結果に秘密の動機を持つ 話者が専門意見を持たない(その事柄の専門家でない人) 留意すべきは、上記の反則にあたるような議論を無効として退けることは形式的誤謬である。
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