アユ生息可能密度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 05:05 UTC 版)
京都大学研究グループによって宇川で解明されたアユ生息可能密度を基準に算出されたアユの放流基準は、アユがなわばりを作る密度か、なわばりを作らず群れアユとなる密度かで2通りあり、なわばり構造が成立する密度であれば1平方メートルあたり0.7尾、なわばりが維持できず群れアユとなる密度であれば1平方メートルあたり4尾程度と算出された。また、なわばりを作ることができる範囲は川の状態により異なるため、河床に等級をつけて等級別になわばり利用率を出し、それを集計する計算式が示された。これらの数字は「京都方式」と呼ばれ、友釣りを前提とするなわばり構造をアユが維持できる密度1平方メートルあたり0.7尾を基準密度として示しつつ、その3倍ほどの量を放流して自然の状態に近づけることが望ましいと提言されている。 1980年代には全国各地の水産試験場が中心となって同様の調査が行われ、1986年(昭和61年)に1平方メートルあたり0.3~0.6尾という結果が算出されたが、高知県の河川を例に挙げれば1平方メートルあたり約1尾の密度で平年並みとみられる漁獲量に達するという。2004年(平成16年)に天然アユの大量遡上があった高知県物部川では5月末時点の平均密度が1平方メートルあたり4.0尾に達したが、高密度のアユが生息できるこうした河川は天然遡上アユが主体で大きさに幅があり、一時にすべてのアユが漁獲対象になるわけではないという点で、放流時の大きさが一定になりやすい放流アユが主体の河川とは差異がある。
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