アプト式ラックレール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/28 08:26 UTC 版)
前述のように「アプト式」とは、2枚または3枚のラックレール(Rack-rail)およびピニオンギア(Pinion-gear)を位相をずらして設置する方式で、複数の歯の位相をずらすことにより駆動力の円滑化および歯の長寿命化を図るとともに、常にピニオンのいずれかの歯がラックレールと深く噛み合っていることによりラックレールの歯が1列だけの方式より安全性の向上が図られ、これ以前にあったリッゲンバッハ式などのはしご状ラックレールより低コストというメリットがある。 登山鉄道はもとより亜幹線鉄道にも世界各地で広く採用され、特にスイスを中心とした欧州の鉄道に多く存在している。日本では、信越本線の碓氷峠では3組のラックピニオンを120度ずらして使用していた。大井川鐵道井川線も3組のラックピニオンを使用している。2組のラックピニオンを180度ずらして使用している例としては、スイスの氷河急行で有名なマッターホルン・ゴッタルド鉄道や蒸気機関車で有名なブリエンツ・ロートホルン鉄道などがある。 日本の鉄道では以下の路線・区間で採用されている。 1893年 - 1963年 国鉄信越本線横川駅 - 軽井沢駅間 1990年 - 大井川鐵道井川線アプトいちしろ駅 - 長島ダム駅間 碓氷峠はラックレールの位置が左右のレールより高く、大井川鐵道井川線は低いという相違がある。このため碓氷峠はキハ58系など一部の車両が通過できず、逆に大井川鐵道井川線は通過車両に制約がないものの分岐器がピニオンを避けるために特殊な構造となっている。 なお信越本線横川 - 軽井沢間が廃線になった後、碓氷峠鉄道文化むらが開設され鉄道資料館などでアプト式鉄道の展示を行っている。
※この「アプト式ラックレール」の解説は、「アプト式」の解説の一部です。
「アプト式ラックレール」を含む「アプト式」の記事については、「アプト式」の概要を参照ください。
- アプト式ラックレールのページへのリンク