アナログ位相検出器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/10 03:53 UTC 版)
位相検出器は2つの入力信号の位相差を計算する必要がある。αを1番目の入力位相とし、βを2番目の入力位相とする。しかし、位相検出器への実際の入力信号はαやβではなくsin(α)やcos(β)といった正弦波である。一般に位相差を計算するにはそれぞれの正規化された入力(常に増加する位相を得るため)のアークサインとアークコサインを計算し引き算をする必要がある。このようなアナログ計算は難しいが、幸いにもいくつかの近似を用いることで簡略化することができる。 位相差が小さい(例えば、1ラジアンよりもずっと小さい)と仮定する。正弦関数と正弦角の加法公式の小角度近似が成り立つ。 α − β ≈ sin ( α − β ) = sin α cos β − sin β cos α {\displaystyle \alpha -\beta \approx \sin(\alpha -\beta )=\sin \alpha \cos \beta -\sin \beta \cos \alpha } この式は2つの乗算器の出力を合わせることにより直交位相検出器を構成できることを示している。直交信号は位相シフトネットワークで形づくることができる。乗算器として一般的な2つの実装はダブルバランスダイオードミキサ(ダイオードリング)と4象限乗算器(ギルバートセル)である。 2つの乗算器を使う代わりに、より一般的な位相検出器では1つの乗算器と異なる三角関数の性質 sin α cos β = sin ( α − β ) 2 + sin ( α + β ) 2 ≈ α − β 2 + sin ( α + β ) 2 {\displaystyle \sin \alpha \cos \beta ={\sin(\alpha -\beta ) \over 2}+{\sin(\alpha +\beta ) \over 2}\approx {\alpha -\beta \over 2}+{\sin(\alpha +\beta ) \over 2}} を用いている。1項目が求めている位相差である。2項目が基準周波数の2倍の正弦波であるため、取り除くことができる。一般的な波形の場合、位相検出器の出力は位相検出器特性で記述される。 ミキサベースの検出器(例えばショットキーダイオードベースのダブルバランスミキサー)は「究極の位相ノイズフロア性能」および「システム感度」を提供する。なぜなら位相検出器の出力において有限のパルス幅を生成しないからである。ミキサベースの位相検出器のもう1つの利点は比較的単純なことである。直交および単純乗算器位相検出器は入力振幅および位相差に依存する出力を有する。実際には、入力振幅は正規化されている。
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