アドレッシングと仮想回線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 14:10 UTC 版)
「X.25」の記事における「アドレッシングと仮想回線」の解説
X.25では2種類の仮想回線 (VC) をサポートしている。通常の VC は要求に応じて接続が確立される。恒久仮想回線 (PVC) はネットワーク内に事前設定された仮想回線である。通常の VC を交換仮想回線 (SVC) とも呼ぶ。 VC の確立では X.121 アドレスを使う。X.121 アドレスは、3桁の国コード (CCC) と1桁のネットワークIDで4桁のデータコードネットワークID (DNIC) を構成し、その後に最大10桁の国内端末番号 (NTN) が続く(いずれも数字)。ネットワークIDが1桁であるため、1つの国に10までしか通信業者がないと仮定しているように思われるが、それ以上の業者がある国では国コードを複数取得して対応していた。1つの業者のネットワークでNTNの全部の桁を必要とすることは稀で、使わない桁を加入者が利用できるようになっていた(これをサブアドレスとも呼ぶ)。サブアドレスは、アプリケーションの識別や加入者側のネットワーク内のルーティングに使われた。 X.25(1984)では仕様にNSAPアドレスファシリティが追加され、OSI CONS (Connection-Oriented Network Service) の要求仕様に合致するようになった。公衆X.25網はNSAPアドレスの利用を要求されたわけではないが、OSI CONS をサポートするため、NSAPアドレスと他のITU-T指定のDTEファシリティをDTEからDTEへ透過的に搬送することを要求された。その後、同じ DTE-DCE インタフェースでX.121アドレス以外の各種アドレスも追加サポートするようになった。それは、テレックスのアドレス、公衆交換電話網のアドレス(E.163)、ISDNアドレス(E.164)、Internet Protocol アドレス (IANA ICP)、IEEE 802.2 MAC アドレスである。 PVC は恒久的に確立された接続なので、アドレスを使うことはない。PVC は加入者インタフェースで論理チャネル識別子(後述)によって識別される。ただし、PVCをサポートしていたX.25ネットワークは多くはない。 X.25ネットワークへの1つのDTE-DCEインタフェースで、最大4095の論理チャネルを持つことができ、それぞれの論理チャネルに1つの仮想回線または恒久仮想回線が対応する。ただし、ネットワーク側が4095の仮想回線をサポートしていたとは限らない。パケットがどの論理チャネルのものかを示すため、各パケットには12ビットの論理チャネル識別子があり、8ビットの論理チャネル番号と4ビットの論理チャネルグループ番号で構成されている。論理チャネル番号は接続が続く間は割り当てられている。論理チャネル識別子は加入者側のDTEとネットワーク側のDCEの間の論理チャネルの識別に使われるだけで、そこから先の仮想回線には無関係である。つまり、ネットワークの先の相手側のDTEでも同様に全く別の論理チャネル識別子を割り当てている。論理チャネルは、恒久仮想回線用、相手から接続してきた仮想回線用、双方向の仮想回線用、こちらから接続する仮想回線用の4種類に分けられている。接続方向はDTEから見た仮想接続の発行元がどちらなのかという意味であって、通信は常に双方向である。それぞれに割り当てる論理チャネル数は加入者が設定できる。しかし、ネットワーク側がサポートしていない種類の論理チャネルは使えず、中には双方向仮想回線用の論理チャネルしかサポートしないネットワークもある。国際ネットワークでは、入ってくる方向の論理チャネルはオプションで、それ以外のサポートが必須とされている。DTE-DCEインタフェースが複数の論理チャネルをサポートすることは必須ではない。論理チャネル識別子としてゼロが恒久仮想回線や仮想回線に割り当てられることはない。ゼロは特定の仮想回線とは関係しないパケットに使用する(例えば、パケット層のリスタート、登録、診断)。
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