鯉魚図揃金具
江戸後期小柄・縁頭赤銅魚子地高彫色絵 目貫朧銀地銀容彫色絵 |
浮き草をかき分け沼の中を悠悠と泳ぎ廻る鯉は、その大柄で機能的な体躯、精悍な動作、鮮やかな色彩、いずれをとっても百魚の王たる貫禄があり、滝をも上って龍となる伝説を生んだ神秘の出世魚でもある。この桂永寿の揃金具は、小柄・縁頭を極上質の赤銅魚子地仕立とし、銀鱗を翻させて泳ぐ野性の鯉を肉高に彫り出し、縁と小柄は泰然自若たる静、頭は水面から踊り出さんばかりの動の両様の姿態を描き、鯉には朧銀、流水は銀、川面に自生する菱であろうか浮き草には金と、それぞれに厚く艶のある色絵を施す。これに添える目貫は、小柄・縁頭の画面に描かれた鯉をそのまま抜き取ったかの感ある朧銀地の容彫で、構成上の制約から解かれて彫り口は一層肉高とされ、その動きは静と動の中間姿態。いずれも主題を中央に大きくとらえ、三者三様の動きが穏やかな鑚使いの中にも克明に表現され、大宗珉を写し、これに肉迫した永寿の腕の程を物語っている。 |
鯉魚図揃金具と同じ種類の言葉
- 鯉魚図揃金具のページへのリンク