もの主義(reism)の時期
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「フランツ・ブレンターノ」の記事における「もの主義(reism)の時期」の解説
ブレンターノは1911年に『心的現象の分類について』(Von der Klassifikation der psychischen Phänomene)を出版した。この書物は、以前に出版された『経験的立場からの心理学』(Psychologie vom empirischen Standpunkt)の第2部第5章以下を本文としており、それに11篇の短文が「考え方の訂正と展開、ならびに解説と擁護のための覚書」という表題のもと、付録として付け加えられてできていたが、ここでブレンターノは以前のデカルト主義的な考えの訂正を行なった。 ブレンターノが維持できないと考えるようになった見解とは、心的関係は「実在的なもの」(Reales)以外を対象とすることがありうる、つまりは「抽象的存在者」(ens rationis)を対象とすることができるという見解であった。この本の「序言」おいて彼は、 「 最も重要な改正の一つは、心的関係はそのつど実在的なもの以外のものを対象として有することができるという見解を私はもはやもっていないということである。— Franz Brentano, Psychologie vom empirischen Standpunkt, II, s.2.(小倉(1986) pp.82-83) 」 と語っている。これは従前の志向的内在たる対象としては非実在的なものも認めるという見解を捨て去るものであった。この見方に代えてブレンターノが打ち出したのが「実在的なもの」のみが対象となりうるもの主義(reism)と呼ばれる見方である。
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