ち に関わる諸事項
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 13:47 UTC 版)
[tʲi̞]が[t͡ɕʲi̞]に転じた正確な時期は定かでないが、室町時代末には既に[t͡ɕʲi̞]が定着していたと考えられている。 「ちや」「ちゆ」「ちよ」などの字音表記は平安時代中期以前にも見られるが、一音節の拗音であるかは定かでない。鎌倉時代には「ちゆう」と「ちう」、「ちよう」と「てう」「てふ」の間の混同が見られ、この頃には「ちゅう」「ちょう」の拗長音が成立していたと考えられる。「ちやう」は室町時代末には「ちよう」の類の拗長音に近づき、江戸時代には発音上区別が無くなった。 室町時代末の切支丹(キリシタン)文献では舌内入声を "bet"(「別」)のように記したものがあり、当時「ち」と記した字音には母音を伴わないものもあったと考えられる。 や行の文字を後続させて、開拗音を構成する。GHQ占領期以来、後続するや行の文字は小さく書く。これは捨て仮名と呼ばれる。 「ち」の調音点は、拗音の「ちゃ、ちゅ、ちょ」と同じであり、音声面では「ちゃ行に属する」と言える。「ちゃ、ち、ちゅ、チェ、ちょ」は国際音声記号では、[t͡ɕä/t͡ʃä], [t͡ɕʲi̞/t͡ʃʲi̞], [t͡ɕu/t͡ʃu], [t͡ɕe/t͡ʃe], [t͡ɕo/t͡ʃo]と表せる(「チェ」は和語・漢語にない音であるため片仮名で表記した。例外:感嘆詞・舌打ち音の表記「ちぇっ」)。 漢字の部首「夂部」の部首名は、「夂」の漢音から単に「ち」、または「ちかんむり」と呼ばれることがある。
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