さらに大きなゼータ定数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/14 04:54 UTC 版)
「アペリーの定理」の記事における「さらに大きなゼータ定数」の解説
Apéry と Beukers は級数表示 ζ ( 2 ) = 3 ∑ n = 1 ∞ 1 n 2 ( 2 n n ) {\displaystyle \zeta (2)=3\sum _{n=1}^{\infty }{\frac {1}{n^{2}{\binom {2n}{n}}}}} のおかげで彼らの証明を ζ(2) のために単純化できた。アペリーの手法の成功のおかげで、 ζ ( 5 ) = ξ 5 ∑ n = 1 ∞ ( − 1 ) n − 1 n 5 ( 2 n n ) {\displaystyle \zeta (5)=\xi _{5}\sum _{n=1}^{\infty }{\frac {(-1)^{n-1}}{n^{5}{\binom {2n}{n}}}}} という性質を持つ数 ξ5 の研究がなされた。もしそのような ξ5 が見つかれば、アペリーの定理の証明のために使われた手法は ζ(5) が無理数であることの証明に使えると期待される。しかし不幸なことに、コンピュータによる広範な探索はそのような定数を見つけることに失敗しており、実は今では次のことが知られている。ξ5 が存在し、かつ次数が高々 25 の代数的数であれば、その最小多項式の係数は巨大、少なくとも 10383 でなければならない。そのため、アペリーの証明を拡張して大きい奇数のゼータ定数に取り組むことはうまくいきそうにない。 それにも関わらず、この領域を研究する多くの数学者は近いうちにブレイクスルーがくることを予期している。実際、ヴァディム・ズディリン(英語版)とTanguy Rivoalによる最近の研究は ζ(2n+1) のうち無限個は無理数でなければならないことを示しており、ζ(5), ζ(7), ζ(9), ζ(11) のうち少なくとも1つは無理数でなければならないことまでも示している。彼らの研究はゼータ関数の値に線型形式を用いており、それらを評価して奇数におけるゼータ関数の値によって張られるベクトル空間の次元をおさえる。Zudilin が彼のリストをさらに短くして1つだけの数にするという望みは実現しなかったが、この問題に関する研究はなお活発に行われている。Higher zeta constants は物理への応用がある: 量子スピン鎖(英語版)の相関関数を記述するのである。例えば文献を参照。
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