アペリーの証明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/14 04:54 UTC 版)
アペリーのオリジナルの証明はディリクレの有名な無理数性判定法に基づいていた。それは数 ξ は次の条件を満たすならば無理数であるというものである:ある固定された c, δ > 0 に対して、 | ξ − p q | < c q 1 + δ {\displaystyle \left|\xi -{\frac {p}{q}}\right|<{\frac {c}{q^{1+\delta }}}} となる互いに素な整数 p, q が無限に存在する。 アペリーの出発点は ζ(3) の級数表示 ζ ( 3 ) = 5 2 ∑ n = 1 ∞ ( − 1 ) n − 1 n 3 ( 2 n n ) {\displaystyle \zeta (3)={\frac {5}{2}}\sum _{n=1}^{\infty }{\frac {(-1)^{n-1}}{n^{3}{\binom {2n}{n}}}}} であった。大雑把に言えば、次にアペリーはこの級数と同じくらい早く ζ(3) に収束する数列 cn,k を定義した。具体的には、 c n , k = ∑ m = 1 n 1 m 3 + ∑ m = 1 k ( − 1 ) m − 1 2 m 3 ( n m ) ( n + m m ) {\displaystyle c_{n,k}=\sum _{m=1}^{n}{\frac {1}{m^{3}}}+\sum _{m=1}^{k}{\frac {(-1)^{m-1}}{2m^{3}{\binom {n}{m}}{\binom {n+m}{m}}}}} である。それから彼はさらに、商がほぼ cn,k である2つの数列 an と bn を定義した。これらの数列は a n = ∑ k = 0 n c n , k ( n k ) 2 ( n + k k ) 2 {\displaystyle a_{n}=\sum _{k=0}^{n}c_{n,k}{\binom {n}{k}}^{2}{\binom {n+k}{k}}^{2}} および b n = ∑ k = 0 n ( n k ) 2 ( n + k k ) 2 {\displaystyle b_{n}=\sum _{k=0}^{n}{\binom {n}{k}}^{2}{\binom {n+k}{k}}^{2}} であった。数列 an/bn は判定法を適用するのに十分早く ζ(3) に収束するのであるが、残念なことに an は n = 2 以降整数ではない。それでもアペリーは、適当な整数を an と bn に掛けてこの問題に対処してもなお収束は無理性を保証するのに十分早いことを示したのである。
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