効用理論
【英】: utility theory
投資の結果が損失に終わる可能性もあるようなリスク事業――例えば石油探鉱事業――の評価法並びにリスク分析法としては、確率論を加味して算出された結果を、あり得べき損失額や期待できる収益額として示すことが行われている。しかし、このような賭けに類するリスク事業の評価には、金額の数学的取扱いだけではすまない面がある。例えば石油の探鉱開発においても、資金豊富な大企業は少々のリスク投資損失は意に介さず、また大量輸送の対象とならない少量の産油にはあまり興味を示さないのに対して、ローカルな小企業にとってはリスク損失が非常に気になると同時に、近くに自社の製油所でもあればそこへの供給原油を補うために小規模油田であっても高い関心がある。このようにリスクに対する対応性向が異なるのは、各企業によって効用が違うということだと考える。効用理論は、投資の評価の直接の物差しは金額そのものではなくて効用値だとするものであるが、それには効用が数量化され得ることと、損失額(-)や収益額(+)と効用値との関数関係が方程式またはグラフとして明示される必要がある。この効用曲線は企業の内外の事情が変化するにつれて変化するので、実際上は、評価すべき事業が発生するごとに、まず通常の方法により求めた金額値を基本にして、これにそれ以外の要素を勘案して効用を評定するということになる。 |

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