おとぎ話版
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/27 18:45 UTC 版)
巖谷小波のおとぎ話版『文福茶釜』によって広く人口に膾炙したという評もある。その要約は、次のようなものである: 上野国館林の茂林寺で、茶の湯が趣味である和尚さんが茶釜を買って寺に持ち帰る。和尚の居眠り中、茶釜は頭や尻尾、足をはやし、小坊主たちにみつかり騒動となるが最初和尚は信じない。しかし湯を沸かそうと茶釜を炉にかけると、足のはえた正体をあらわす。怪しい釜なので出入りの屑屋に売却。その夜、茶釜はみずから不思議な姿をあらわし、狸の化けた茶釜だと正体をあかし、文福茶釜と名乗る。狸は、寺での扱いをなじり(火にかけられたり、カンカン言わせて叩かれたり)、屑屋には箱にしまうでもなく丁重に養ってもらいたい、そのかわり軽業、踊りの芸を披露する、ともちかける。屑屋は見世物小屋を立ち上げ、茶釜大夫の曲にあわせた綱渡り芸は人気を博す。一財をなした屑屋は満足し、もうけの半分を布施とするとともに茶釜をもとの茂林寺に返還し、同寺の宝となった。 この、茶釜から顔や手足を出した狸の姿や、傘を持って綱渡りをする姿のイメージが、広範にそして甚だしく笑話化されて伝えられてしまっている。 場所(茂林寺)まで指定するのは、これが伝説から純粋な童話になりきっていないひとつの兆候だと志田義秀はしている。
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