『簾中抄』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/10 19:57 UTC 版)
『簾中抄』とは、「故実書」と呼ばれるジャンルの書物である。故実書とは、「昔の百科事典」等と説明されることもあるが、基本的にさまざまな事物の名前をそれぞれの決められた順に並べてあるだけの書物であって、書いてある事物には番号を振ってあったりごく簡単な説明を加えてあるだけで詳細な説明を加えてあるようなことはあまり無い。このことから考えて故実書とは基本的に何かの意味や内容を調べるためというよりは物や事柄の名前や表記を確かめるだけのための便覧とでも言うべき書物である。『簾中抄』とは、この故実書の一つであり、平安時代末期の歌人藤原資隆が八条院のために著したとされているもので、故実書の中では比較的ポピュラーなものの一つである。「簾」とは御簾のことであり、「簾中」とは貴人(御簾の中にいる人物)のことを意味するもので、そのような貴人のための手引き書という性格を持っているとされる。本書はこれ以後に成立した故実書『二中歴』などにも大きな影響を与えている。いずれも江戸時代の成立と見られる宮内省本など5本を底本に校合し1900年(明治33年)から1903年(明治36年)にかけて近藤活版所から出版された『改定史籍集覧』の第23冊に収録されたものが『簾中抄』の流布本といえる。
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